綿密な検証によるサイト改善により、クラウド会計サービスの freee が有料会員化率を 34% 高めることができた事例

小澤 真由子, 中島 弘樹, 橘 亮丞 2019年6月 企業間取引(B2B)

クラウド化の流れが進む会計ソフト業界

現在、日本国内の企業のうち、パッケージ型とクラウド型を合わせた会計ソフトの利用率は 34%であり、なかでも会計ソフト利用事業者のクラウド率は 40% まで増加しています(*1)。

法人・個人ユーザーを対象に、無料会員化から有料会員化の2ステップを目指す

freee 株式会社は、個人事業主および中小企業を対象に、クラウド会計ソフトを中心としたバックオフィス効率化のソリューションを提供するフィンテック企業です。サービスの特性上、インターネットが新規会員獲得の重要な手段となります。

サービスの展開にあたり、同社はフリーミアム (Freemium) モデルを採用しました。これは、無料で基本機能を提供することでユーザー層を広げ、さらに高度な機能を利用したい場合は有料サービスを案内する仕組みです。フリーミアムのビジネスモデルでは、まず無料会員への登録を促し、次のステップで有料会員への転換を目指すという2段階の目標を設定します。

 本記事では、freeeが行ったウェブページの最適化についてご紹介します。あるインターネット利用状況の調査では、ウェブページが分かりづらいために閲覧をやめたことがあると回答した日本人ユーザーは、全体の 63% にのぼります (*2)。このことからわかるように、freee のようなオンラインサービスを提供する企業にとって、ウェブサイトの操作性はビジネスを左右する非常に重要な要素となります。

数多くのテストを重ね、ウェブサイトを改善

ウェブサイトのユーザビリティの改善にあたり優先順位を判断するため、freee は自社サイトをアナリティクス 360で分析しました。その結果、法人と個人向けの両方で、料金表ページが最も重要であることが確認できました (ページの価値、およびサイトのコンバージョン完了までに、ユーザーが経由したページに対して割り当てられる平均的な価値を自動で算出)。

次に、どのような料金表ページが最適なのかテストするために、Google アナリティクスと同じGoogle マーケティング プラットフォームに含まれる、A/B テストを始めとするウェブサイトテストのためのツール、オプティマイズ 360を活用しました。

freee では、データによる意思決定と改善を高速に行うため、さまざまなチームが数多くの施策をテストしています。そのため、100 を超えるテストを同時に実施することができ、かつ Google アナリティクスのインターフェイスでもテスト結果を確認できるオプティマイズ 360 は、マーケティング部門全体で積極的に利用されました。

オプティマイズ 360 の結果に基づき改善を重ねた結果、よりシンプルな料金表を導入することを決定。法人向けでは無料会員化率を 28% 増加、有料会員化率は 34% も増加させることができました。

図:より直感的に視認性を高めた法人向け料金表ページ

綿密な検証によるサイト改善により、クラウド会計サービスの freee が有料会員化率を 34% 高めることができた事例

また freee は、法人と個人を問わず、ユーザーが会計サービスに求める重要な要素はサービスの「使いやすさ」であることを認識していました。これについて、ウェブサイト上でどのように表現するのが最適なのか測るためのテストも実施しました。

これまで静止画イラストでサービスを訴求していましたが、より価値訴求力の高い方法を模索するなかで、短期間でメッセージを届けることが可能な動画を使用したテストを行った結果、個人向け、法人向けのいずれにおいても大きな改善を実現できました。とくに法人向けページでは無料会員化率が 17% 向上、有料会員化率も 27% 向上しました (下図参照)。

図:動画で使いやすさを訴求 (サービス紹介ページ)

綿密な検証によるサイト改善により、クラウド会計サービスの freee が有料会員化率を 34% 高めることができた事例

図:施策後の有料会員化率上昇

綿密な検証によるサイト改善により、クラウド会計サービスの freee が有料会員化率を 34% 高めることができた事例

オプティマイズ 360 によって得られたさまざまな知見を詳細に分析したところ、法人向けでは簿記知識がなくても簡単に登録できるという訴求が、また個人向けでは普段会計サービスを利用しないユーザーが増加する確定申告のタイミングでシンプルな料金表が、無料会員化率、有料会員化率をともに引き上げる傾向があることが分かりました。

さらにビジュアル エディタを活用することにより、コンバージョンに直結する最も重要な行動喚起のフレーズについて、サイトのコードを書き直すことなく、マーケティング担当者自身でテストを設定、実行できるようになりました。これにより、新しいページのパターンを機動的にテストできるようになったことも迅速な改善につながりました。

 

 今後の展望について

同社でアナリティクスを担当する恩田 真澄 氏は、「『アウトプット→思考』を価値基準とする freee にとって、オプティマイズ360 の導入により高速にマーケティングの PDCA サイクルを回せるようになったことは大きなメリットです。」のように語ります。また、法人、個人事業のマーケティングをそれぞれ担当する大塚美奈 氏、大杉 雛子 氏は今後のオプティマイズ 360 の活用について、「会員登録以前や無料会員登録後など、ユーザーの会員フェーズ別にテストを実施したり、そこで得られたニーズを Google アナリティクスから広告運用に連携することで、よりユーザーの期待に添えるサイトを提供し、さらなる会員増へとつなげていきたいと考えています」と述べています。

綿密な検証によるサイト改善により、クラウド会計サービスの freee が有料会員化率を 34% 高めることができた事例

写真  左から freee 株式会社 マーケティング 恩田真澄 様、大塚美奈 様、大杉雛子 様