日本のゲームアプリ市場でのマーケティングと休眠復帰施策により、『荒野行動』の ROIを 2.5 倍改善した NetEase

石井 一樹 2019年10月 モバイルアプリ

日本市場で順調にダウンロードを増やしてきた『荒野行動』

巨大なゲーム売上市場を持つ日本には、近年多くの海外ゲームメーカーが注目しており、さまざまなゲームタイトルがリリースされています。『荒野行動 (英語名 Knives Out)』を開発したNetEase もまた、早くから日本市場に注力してきた企業です。

しかし、日本において海外ゲームメーカーが成功を収めることは容易ではありません。このため NetEase は、『荒野行動』の日本展開に当たり、日本ユーザーの嗜好に合わせて UI をアニメ風に調整するなど、事前にさまざまな工夫を凝らしました(*1)。

そして『荒野行動』のマーケティング プロモーションにあたっては、多くのゲームユーザーにリーチが見込める YouTube でのコミュニティ育成や、Google 広告を主としたオンラインでの広告展開に注力する方針に決定。また、ゲームの認知向上を目的に、YouTubeの主催する FanFest 2018 (YouTube 上で高い人気を誇るクリエイターやアーティストとそのファンが集うオンライン動画コミュニティの祭典。YouTubeが主催) (*2)にも協賛しました。

人気 YouTube クリエイター スカイピースによる『荒野行動』をテーマにしたセッションの様子

これらのプロモーション施策が奏功し、日本での『荒野行動』のダウンロード数はすでに 2500 万(*3)を超え、順調にユーザー数を拡大しています。

このほか同社は、アプリを楽しむユーザーの大会にも力を入れており、今年は 5 月の全国オンライン予選に始まり、選抜戦、東西日本王者決定戦を経て、8 月 12 日に日本のチャンピオンを決定する『荒野王者決定戦』を開催しました。その結果、YouTube マストヘッドなども活用した『荒野王者決定戦』のライブストリーミング展開を行ったことにより、6 万 7000 人ものユーザーが視聴するという、確かな手応えを得ることができました。

図:『荒野王者決定戦』

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netease

ユーザーが真に満足し、継続的にゲームを楽しむために

好調にユーザー数を拡大した NetEase の新たな課題は、どのようにすれば、一度ダウンロードしたスマートフォンゲームアプリをユーザーに継続的に遊んでもらうことができるかということでした。調査では、同じ時期にプレイしている有料スマートフォンアプリの数は 1 個というユーザーが最多であり、ゲームメーカーにとって、いかにして自社のスマートフォンゲームアプリを最優先にプレイしてもらえるかということは非常に重要なテーマであり、これは NetEase にとっても同様でした。

そこで NetEase がとった施策が、「一定期間以上アプリにログインしていない (=休眠ユーザー) が、有料ユーザーになる可能性が高いと予測されるユーザー」に向けて、Google の持つさまざまなオンラインサービスを包括的に活用し、優先的に広告配信を実施するアプリ エンゲージメント キャンペーンです。今回のキャンペーンでは、過去の傾向から同社で再度ゲームをプレイしてもらうことが難しいと考えられる、15 日以上ログインしていない休眠ユーザーを対象に設定しました。

このアプリ キャンペーンは、Google の機械学習によって、インストール、アプリ内コンバージョン、または目標広告費用対効果など、キャンペーンの目標に沿って自動で最適化した広告配信を実施するというものです。

この施策により、NetEase は 15 日以上ログインしていないユーザー、中でも特にスマートフォンゲームアプリの収益化のために重要な、有料ユーザーになる可能性の高い休眠ユーザーに対して優先的に広告配信を行うことが可能になりました。

キャンペーン開始後 2 ヶ月で、20% の休眠ユーザーが再度ゲームをプレイ

NetEase がキャンペーンを開始して 2 ヶ月間で、対象となった休眠ユーザーのうち、20% が再びゲームにログインしました。

また、ゲームの収益化に重要な指標となる費用対効果 (この場合は、ゲーム内での利用額対広告費) も、これらの復帰ユーザーの場合、新規ユーザーよりも 2.5 倍も増加することが確認できました。同社は、新規のユーザーよりも休眠ユーザーのほうがより効率的に収益化しやすいと想定しており、そのためのアプローチ方法を模索していました。この実現に役立ったのがアプリ エンゲージメント キャンペーンだったのです。

図:アプリ エンゲージメント キャンペーンによる成果

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今回の成功を踏まえ、今後 NetEase は他タイトルや海外オフィスでも同様の施策を実現すべく、前向きに検討中です。

Contributor
Moru Wang インダストリー マネージャー
Yawen Tang アカウント マネージャー
高橋ちひろ   アカウント マネージャー
Yuan Gao アカウント マネージャー

日本のモバイルゲーム市場でマーケターが成果を収める 5 つのポイント