ウェブからアプリにシームレスにつなぐ「ディープリンク広告」でリーチとエンゲージメント両立、コンバージョン率 が 4 割増――リジョブ

今村 公哉氏 2019年10月 モバイルアプリ

モバイルマーケティングにおけるウェブとアプリの位置付け

生活者のモバイルシフトが進む中、スマートフォンアプリを活用したマーケティングが注目を集めています。下図の通り、モバイルマーケティングにおけるウェブとアプリの位置付けは相互補完する関係です。一般的に、アプリはウェブより使い勝手が良く、ユーザーのエンゲージメントを高められるといった特徴があります。一方でアプリは、ウェブと比較するとリーチ拡大に課題がありました。認知だけでなく、ダウンロードしてもらうというステップを踏む必要がある上、一度ダウンロードしてもらっても、定期的に起動してもらうのは大変です。

図:ウェブとアプリの長所と短所

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美容・ヘルスケア業界に特化した求人サイト「リジョブ」を運営する株式会社リジョブはこれまで、ウェブの検索連動型広告を中心に、ターゲットとする求職者にリーチを広げてきました。今回、求職者にリジョブのアプリも活用してもらい、エンゲージメントを高めてもらうための施策として、ウェブとアプリ内コンテンツをシームレスにつなげる Google 広告の「ディープリンク広告」(ウェブページの広告から直接アプリを起動できる広告リンク)を利用し、大きな成果をあげることができました。

ウェブ→アプリへの誘導が課題

リジョブは、成果報酬型モデルを業界で初めて導入した、美容・ヘルスケア業界向け求人サイトで、コストを抑えながら効率良く求人広告を出すことができます。転職者の累計会員数は 36 万人と業界最大級で、順調に規模を拡大してきました。

リジョブがターゲットとする美容・ヘルスケア業界で働く人は、平均勤続年数が短く、転職することがより一般的な傾向があります。実際に、厚生労働省(*)の調査によると、全業界の平均勤続年数が 12.4 年なのに対して、理容・美容師は 7.3 年となっています。

また、転職を考えている人は転職サイトを一定期間、高い頻度で利用する傾向があります。厚生労働省の「民間人材ビジネス実態把握調査」(2016 年)によると、転職時のウェブ求人媒体の利用割合は 20 代が最も多く、平均は 2.6 件の媒体を利用、求職活動期間は「1 か月未満」が 36.8%、「1 か月以上 3 か月未満」が 31.1% となっており、国内の求職者は、2~3 サイトに登録し、短期間に集中して活動する傾向があることがわかります。

こうした転職活動の集中して使うという特性から、リジョブではユーザーの転職検討者にアプリをより活用してもらうことで、更に求人申し込み数を拡大したい考えていました。

そこで、「リジョブに検索でたどり着いたユーザーを、いかにアプリに誘導し、使ってもらうか」という課題を設定し、その解決にディープリンク広告を活用することにしました。

ディープリンク広告活用で、求人申込率 40% 増加

ディープリンクを利用すると、スマートフォンのブラウザ上の検索結果から、直接アプリを起動し、アプリ内の該当コンテンツや機能を表示させることができます(下図)。非広告のディープリンクには、既に日本でも多くのアプリが対応しています。

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Google 広告のディープリンク広告では、広告から直接アプリを起動したり、検索結果に合わせてアプリ内のコンテンツを直接表示することも可能です。また、効果測定について、ウェブとアプリにまたがったコンバージョンのトラッキングも、より精緻にできるようになります。

リジョブが採用したディープリンク広告では、関連する美容系求人をウェブで検索したユーザーが広告をクリックした際に、直接リジョブアプリの求人ページに飛べるようにしました。また、アプリ内でのコンバージョンデータを広告運用に活用し、予算を効率的に運用することに成功。求人申込率(コンバージョン率) は対昨年比で 40% も増加しつつ、申込獲得単価は 30% 削減することができました。また、以前は全体の 4% しかなかったアプリ経由の求人申込が、現在では全体の 37% に達しています(下図参照)。

図:求人申込率と申込獲得単価

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さらなるアプリ UI/UX 改善へ 

今後リジョブは、Google が 7 月末に発表した Google アナリティクス の新機能「アプリ & ウェブプロパティ」を活用し、これまで Google アナリティクスと、アプリの制作やパフォーマンスの分析、改善に加え、バックエンドを管理できるモバイル開発のプラットフォームである Firebase 向け Google アナリティクスでそれぞれで確認していたデータを統合し、ウェブとアプリをまたがる、目標到達までのプロセスを分析したいと考えています。

これにより、アプリの UI/UX 改善が求人応募率(転換率)にどのように影響したのかが精緻に分析できるようになるのではないかと期待しているためです。また、正確なコンバージョン測定とアトリビューション分析を可能にする「目標広告費用対効果(ROAS)」入札戦略の活用を検討しています。

リジョブのように、既にウェブとアプリの両方を活用している事業者の方は、ディープリンク広告を活用してウェブとアプリをシームレスにつなげ、リーチの確保とエンゲージメントの両立にトライしてみてはいかがでしょうか。

Contributor

今井 飛星 インダストリー マネージャー / 菊地 麻里恵 アカウント マネージャー / 柳川 梓 サーチ プロダクト スペシャリスト / 緑川 徹生 モバイル アプリ プロダクト スペシャリスト

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