来店コンバージョンデータから見た O2O の可能性

川合 純一 11月 2016 O2O, 小売

モバイル志向の高い日本では、マーケティングにおいてその志向を活かせる可能性がまだまだあります。「来店コンバージョン」を利用し、マイクロモーメントを的確に捉え、店舗送客につなげた事例を元に、その可能性を見ていきましょう。

 

世界の中でも最もモバイル化が進んだ国の一つである日本。実は世界でも 10 ヶ国しかない、モバイルからの Google 検索数がパソコンからの検索数を上回る国のひとつでもあります1

人々の行動が変化する一方、マーケティング業界に目を向けると、やや遅れが目立ちます。例えば、日本は世界 3 位の広告市場ですが、デジタル広告の出稿額では世界トップ 10 に入っていません。モバイル広告に至っては更に規模が縮小し、広告全体のわずか 9.5% にとどまっています。これは中国、イギリス、韓国、フィンランドといった国を大きく下回る数字です2

ビジネスの発展のためには、生活者のコンシューマージャーニーに沿って適切なマーケティングを行わねばなりません。消費者は一連の購入経路でさまざまな刺激や影響を受け、重要な決断を下していきます。特にモバイルでは、無数の「どこかに行きたい瞬間」が発生しています。つまり「マイクロモーメント」を見極めることができれば、着実かつ迅速に成果につながるはずです。

モバイルのマイクロモーメントを捉える

どこかに出かける前や商品を購入する前に、モバイルデバイスで検索する生活者が増えています。日本はこの傾向がとくに顕著で、すべての e コマースのうち 52% がモバイルで発生しています。そして小売業におけるモバイルのコンバージョン率はアメリカの 3 倍にのぼります3

Google Japan の代表である Peter Fitzgerald(ピーター フィッツジェラルド)はこう語ります。「消費者は頻繁にモバイル デバイスをチェックします。何らかの意図を持ってモバイルを手に取る瞬間は、ブランドにとって非常に重要です。Google はこの瞬間をマイクロモーメントと呼んでおり、アジアでは他のどの地域よりも多くのマイクロモーメントが発生しています」

広告の効果測定が困難であるという理由で、モバイルマーケティングに前向きになれないという声を聞くこともあります。しかしそれは、自社のブランドや製品を積極的に求める数多くのユーザーを取りこぼしてしまいます。

投資の可視化という大切なテーマに関して、来店コンバージョンがあります。これは、広告のクリックが実店舗への誘導に影響を与える効果を測定するもので、モバイル広告のクリックがレストラン実店舗への送客につながる瞬間を明らかにすることができます。

来店コンバージョンによるモバイル広告の効果検証

コンビニエンス ストアチェーンのセブン‐イレブンや、そごうや西武といった大手百貨店を傘下に収めるセブン & アイ・ホールディングスは、この来店コンバージョンを上手に活用し、デジタル広告をクリックした後に来店するユーザー数をより正確に把握すべく、 インターネットから実店舗へのコンバージョン率を確認することに成功しました。

O2O の可能性を高める AdWords

この来店コンバージョンをうまく活用することで、デジタル広告が実際の来店数に与える影響を測定することができました。これにより、モバイル経由で来店したユーザー数とその頻度が明らかになり、デジタル広告の費用対効果が正確に割り出せたのです。

モバイル経由で来店したユーザー数はパソコンに比べ 44% も多く、さらにコストも 40% 低いことが判明しました。この分析により、同社はインターネット広告の持つインパクトを改めて認識し、それに基づいてマーケティング戦略や投資の最適化を行ったのです。

モバイルの優位性を最大限活かす

セブン & アイ・ホールディングスによる来店コンバージョンの活用はモバイルの実力が発揮されたよい例ですが、日本のようにモバイル優位な環境においては、今後も同様の事例が多く見られることでしょう。常に変化するトレンドを、いち早くマーケティングに取り込むことで、生活者の購入経路で発生するさまざまなマイクロモーメントを捉えることができるのです。

セブン & アイ・ホールディングスで CI 室シニアオフィサーを務める原田良治氏はこう語ります。「時間や場所、デバイスの制約を超えて、あらゆるマイクロモーメントを捉えることで広告投資効果を最大化できます。今後も、モバイルから実店舗へのコンバージョンデータは、決定的に重要な意味を持つことは間違いありません」

デジタルマーケティングの来店効果(Online to Offline)