メーカーとマツキヨが共同販促「Matsukiyo Ads」- 来店・売上ともにアップ

株式会社マツモトキヨシホールディングス 執行役員 営業統括本部営業企画部長 兼 オンラインビジネスユニット シニアユニットマネージャー   松田 崇 2019年10月 O2O

マツキヨ、次の戦略はデジタル化の加速

マツモトキヨシホールディングスは、1932 年の創業当時から「革新性」と「ワクワク感」を追求してきました。ドラッグストア業界が市場規模を拡大する中、競争はますます激化してきています。そのような環境下で同社は規模と利益の双方を追求すると同時に、他社とは一線を画する戦略をとってきています。例えば、プライベートブランドの開発に力を入れているのもそのひとつです。

さらなる成長には、店舗と EC の併用、いわゆるオムニチャネル化の加速が鍵となります。マツキヨへの支持が高い顧客ほど、店舗・EC 両方で買いものを楽しんでくれているからです。そのため、マツキヨの店舗・EC 両方の会員である「デジタル会員化」を増やすことで、一人ひとりのお客様の ライフタイムバリュー ( LTV ) を高めていけると考えています。

店舗で発行されるポイントカード会員だけではなく、Web 会員登録やアプリ会員登録などのタッチポイントが多ければ多いほど、LTV の向上に寄与することは明らかになっています。プライベートブランドの開発を進めた背景も、この LTV 向上の一貫でもありました。

そして今、次の施策として注力しているのが、Matsukiyo Ads (マツキヨ アド) です。

メーカーと共同で販促「Matsukiyo Ads」

Matsukiyo Ads とは、Google の広告ソリューションやマーケティングプラットフォームを活かしたメーカーとマツキヨの共同販促モデルです。メーカーの製品の広告を Google 広告 ( YouTube 動画広告、ディスプレイ広告、検索広告 ) にて配信。マツキヨが主幹することでマツキヨポイントカードアプリとの連携が可能となり、広告に接触した人が店頭に訪れ商品の購入につながったかどうかなどの検証ができます。

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より深くお客様のインサイトを把握し、コミュニケーションを考える上では、自社のデータを活用して「マーケティング」そのものの在り方を見直す必要があるのは自明です。それを匿名化し、メーカーと共有をしていくことがお客様の満足を高め、業界そのものを発展させていくと考えています。この仕組みではマツキヨの自社データを用いていますが、メーカーの将来のマーケティングにも活用できるデータとして共有していきます。

例えば、広告キャンペーン手前 ( Pre ) と 広告キャンペーン中 ( Post ) の購買インパクトの分析などをマツキヨ側が実施・共有することで、メーカーは、次の販促活動への示唆を得ることができます。さらには、商品開発にも活用することが可能になることでしょう。

Matsukiyo Ads で来店・売上ともにアップ 3 つの事例

Matsukiyo Ads は、2019 年 4 月に正式ローンチしてから 8 月末までに、10 ブランド以上と協業しました。うち 3 つの事例を紹介します。

高い購買率を実現した「マンダム ギャツビー ボディペーパー」

マンダム「ギャツビーボディペーパー」は、Matsukiyo Ads で動画広告を配信し、マツキヨへの来店と商品の購入を促しました。動画では、クリエイティブを 4 フェーズで構成。マツキヨとギャツビーのコラボ感をまずは演出したうえで、ニーズ・シーンにフォーカスして需要を喚起したのが特徴です。個別のニーズに応じたメッセージなど、各商品の訴求ポイントと共に、「今すぐお近くのマツモトキヨシへ」という行動を促す形で締めています。

最も来店効率 と 購買インパクトが良かったクリエイティブ

動画広告は 2019 年 7 月 11 日 から 7 月 31 日まで配信し、視聴完了率、来店率、単価の面で満足のいく結果でした。特に広告接触から購買に至ったアプリ会員は、全アプリ会員数の 4% と高い購買率となり、施策実施前後で比較すると、176.7% の伸長となりました。この 7 月は昨年よりも 平均 -4℃ の冷夏が影響し、販売数全体は 66.7% と低迷しました。しかし、マツキヨデジタル会員の販売数は、90.3%、 非会員を含めても 70.4% と比較的良好な数値で推移したのです。さらに、動画広告の CTR や VTR が必ずしも高くないケースでも、来店や購買につながることもわかり、お客様の行動喚起につながる可能性が高いことも明らかになりました。

「アンファー/スカルプD メディカルミノキ5」売上アップ

アンファー / スカルプD メディカルミノキ5は、認可されている最大量のミノキシジル製剤を含んだ発毛剤という商品特徴を活かし、「ミノキなら、生える。」というメッセージを訴求したクリエイティブの動画広告を、Matukiyo Ads で 2019 年 6 月 28 日から 7 月 31 日の 34 日間配信しました。

それと同時期に商品取り扱い全店舗において、店頭展開を強化しました。商品部にて企画説明書を作成し、各店長へのコミュニケーションを徹底したことで、アンファーが目指す 1 店舗当たりの販売本数をほぼ達成。さらに、Matsukiyo Ads の配信地域と非配信地域では、 同数値に 35% もの開きがあったことも確認できました。

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実際に商品部が作成し、各店長への説明に活用した社内資料

「ロート製薬 肌ラボ化粧水」シリーズ は 1,600 店舗で展開

スキンケア意識の高まる真夏の 8 月 12 日 から 9 月 12 日 にかけて、ロート製薬の「肌ラボ化粧水」シリーズも Matsukiyo Ads を活用し、全国 約 1,600 店の店頭連動を実現させました。動画広告クリエイティブと連動した「12 年連続売上 No.1」という実績を強調する店頭 POP を作成し、店頭での訴求も強化。店長会議では、商品部が企画案を提示し、各店舗の足並みを揃えることができました。広告キャンペーンは終了したばかりで、最終結果をこちらで記載することができないのですが、速報値では売上増が明らかになっています。

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Matsukiyo Ads を支える体制

Matsukiyo Ads ローンチ当初は社内でも手探りで進めていましたが、取り組みを進めるにつれ、社内体制も整ってきました。

営業企画部は、社内関係者と広告会社 のハブとなり、各案件の全体統括とプロセスの設計を担っています。社内関係者向けの案件ブリーフシートを作成し、商品部とすり合わせを行います。マツキヨ主導のキャンペーンの場合には、クリエイティブに使用して良い表現や店頭で実現できることなども、営業企画部が決めていきます。

商品部からも、メーカーと共に育てていけるブランドを支援できるよう、会議にも最初から入り、店頭で応えられることに積極的に関わっています。また、各バイヤーもデジタルマーケティングの効果を実感してきています。

値下げだけに頼らない共同販促を

Matsukiyo Ads は産声をあげたばかりで、改善の余地はまだまだあります。例えば、広告クリエイティブのクオリティを高めていくことです。クリエイティブによって、来店や購買への寄与度が大きく異なることがわかっていますので、メーカーとも丁寧にすり合わせを行うことが重要です。

また、広告接触から購買までのカスタマージャーニーの可視化は、さらに進化できると考えています。例えば、アプリ会員と非会員でカスタマージャーニーを比較することで、お客様にもメーカーにもより魅力を感じていただける仕組みを構築していけるはずです。

さらに、広告と購買に関する効果測定を精緻にしていくために、クリエイティブ素材の A/B テストや地域別の広告配信による結果の蓄積を続けていくことも大切です。並行して、お客様のアプリのインストール数やアプリの利用を促進し、店頭施策をより徹底していくことが必要と認識しています。

すでに協働販促を実施したブランドからも、建設的なフィードバックをいただいており、Matsukiyo Ads に対しての前向きな感触をもち新しい展開に期待を寄せてもらっています。

従来の小売とメーカーの協働というと、どうしても価格だけに議論が集中する傾向がありました。しかし、本当にマツキヨを支持してくれるお客様にとっても、メーカーにとっても、付加価値の高いことに広告宣伝費・販促費をより効果的に活用していくことで、新しいビジネスの形が見えてきます。

メーカーと小売が協働して、購買実績に基づきマーケティングを展開し、来店促進や購買の最大化、そしてカスタマーインサイトのラーニングを図る。その結果、個々人のお客様に本当に意味のある商品情報の提供や買い物体験を提供する革新的なアプローチを確立できると考えています。

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