販売店との連携により、広告の来店効果の「見える化」を実現 - サムスン電子ジャパンの事例から

荻原 泰邦 氏, Franziska Maack 2019年4月 O2O, 通信

「購入がなされるのは実店舗のため、自社広告がどれくらい販売に寄与しているのか把握しづらい...」

これは、家電や消費財メーカー企業のマーケティングを担う時に、共通する課題の一つです。デジタル広告では多数の指標で計測することが可能ですが、クリックや視聴といった指標だけでは、「購入」への直接的な効果が把握しにくいというのも事実です。

今回ご紹介するサムスンも、携帯電話事業でこの課題に直面していました。携帯電話の購入は、その 7 割弱(*1)が携帯電話キャリアの店舗で行われているため、メーカー主導の広告投資が、携帯電話の販売にどの程度寄与しているかを把握することが難しかったのです。自社広告のKPI を広告認知やブランド認知といった指標に設定することが多いメーカーでも、広告が実際の売上にいかに貢献しているかを可視化することが求められようになっています。同社では、デジタル広告をより購入段階に近い指標で計測するための可能性を模索していました。


メーカーとして来店を促す広告展開の先駆け

この課題に対し、サムスンは、2018 年 8 月にローンチしたアフィリエイト住所表示オプションと来店計測を組合わせた広告展開を導入しました。それにより、自社のデジタル広告投資がNTTドコモや KDDI への店舗来店にどの程度貢献したかを計測できるようになりました。ここで導入したアフィリエイト住所表示オプションとは、機械学習によって検索、ディスプレイ、YouTube に表示する広告を自動で最適化し、指定した販売店 (サムスンの場合は携帯キャリアの店舗) への来店を促進する機能です。単に広告投資の来店単価や来店率を計測するだけではなく、その結果から、顧客に来店するきっかけを提供することも可能なソリューションです。

図: アフィリエイト住所表示オプションの広告事例

販売店との連携により、広告の来店効果の「見える化」を実現 - サムスン電子ジャパンの事例から

来店計測から判明した学び

ミレニアル世代を対象として実施した今回の広告キャンペーンでは、検索、ディスプレイ、YouTube といった広告フォーマットごとに、新たな発見がありました。

検索では、広告効果をクリック率で測るか、来店率で測るかによってクリエイティブの評価が大幅に異なりました。クリック率による評価では、一般的なキーワードである「携帯電話」よりも、「サムスン」や「ギャラクシー」 といったブランド名や製品名などの指名ワードのほうがよりクリック率が高くなりました。しかし、来店率で評価した場合、指名キーワードと一般キーワードの間には大きな差異はなく、購買段階に近い行動を促すにはどちらも重要であるということが明らかになりました。

さらに、YouTube 広告とディスプレイ広告については、クリエイティブを「音楽」「アウトドア」「ゲーム」「ドライブ」「ビジネス」の5つのジャンルで準備し、その効果を検証しました。すると、これまで計測していたクリック率に比べ、新たな指標となった来店率では、異なる結果が得られたのです。たとえば、音楽がテーマのクリエイティブは、クリック率は低いものの来店率は最も高いということが分かりました。

販売店との連携により、広告の来店効果の「見える化」を実現 - サムスン電子ジャパンの事例から
販売店との連携により、広告の来店効果の「見える化」を実現 - サムスン電子ジャパンの事例から

サムスンが見据える今後の戦略

今回の成果について、サムスン電子ジャパン 荻原泰邦氏はこう語ります。

「可視化された情報から、量的なものだけでなく質的に役立つ情報も多く得ることができました。今後も継続して、効果的な施策に役立てていきたいです。
また、今後は来店数に加えて店舗売上も計測し、広告費用対効果と顧客ニーズを捉えていきたいと考えています。これからも、アフィリエイト住所表示オプションで計測できるパートナーとの連携を強化しつつ、ビジネス拡大のへと結びつけていきたいと考えています」


取扱実店舗を表示するアフィリエイト住所表示オプションで来店を促し、さらにその効果を綿密に検証することで、自社販売店を持たないメーカーにとっても、来店を起点にした広告施策の展開が可能になっています。来店効果を可視化することにより、次に向けた展開の示唆や学びにつなげていく施策も、今後一層進んでいくことになるでしょう。

販売店との連携により、広告の来店効果の「見える化」を実現 - サムスン電子ジャパンの事例から
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