データを活用したマーケティング実現のポイントは「経営トップのコミットメント」「アジャイル(機敏)な組織」BCG調査より

森田 章 2019年6月 プログラマティック

(本記事はボストン コンサルティング グループのプレスリリースを元に同社とGoogle が Think with Google 向けに再編集したものです)

経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)は、Google マーケティング テクノロジー営業部と共同で欧州、アジア・パシフィック、南米の各地域で、合計 200 社以上の企業を対象にデジタルマーケティングの活用に関する調査を行ってきました。

BCG ではこの調査をもとにデジタルマーケティングにおけるベストプラクティスはどのようなものか、そしてそれを実現するにはどのようなロードマップが必要であり、どのような価値を生み出すことができるかについて研究をすすめています。

今回、日本でデジタルマーケティングに取り組む様々な業界の企業 34 社(インターネット業界、食品・飲料業界、家電、金融、人材、不動産業界など)を対象に世界の他地域と同一の調査を実施し、以下の点が明らかになりました。

調査対象企業のデジタルマーケティング成熟度は欧州企業に半歩後れ

今回の一連の調査では、アンケート調査から明らかになった対象企業のデジタルマーケティングの活用レベルを「デジタルマーケティング成熟度」という形で定量化し、以下の 4 つの段階に分類しています。成熟曲線は上昇するにつれて険しくなり、次のレベルへ移行する難易度が増していくため、現状では最上位である第 4 段階に達している企業はグローバルで見ても非常に少数です。

  • 第 1 段階(Nascent) マーケティング・キャンペーン単位での取り組みが行われている。主に外部データを使用し、自社データはほとんど活用できていない。運用型広告もほとんど用いていない。売上と結びつけた取り組みになっていない。
  • 第 2 段階(Emerging) 自社データや自動入札をある程度活用しているが、マーケティング活動はチャネルごとの最適化にとどまっている。
  • 第 3 段階(Connected) オンライン・オフラインのデータが一部統合され、売上や利益の最大化に向けたチャネル横断のマーケティング活動ができるようになっている。
  • 第 4 段階(Multi-moment) あらゆる顧客接点を活用しながら、個々の顧客の生涯価値の向上を目指して、アジャイル(機敏)なマーケティング活動ができている。

日本では、調査対象企業の 73% が第 2 段階、24% が第 3 段階にあたり、欧州(同 50% が第 2 段階、44% が第 3 段階)やアジア・パシフィック(同 48% が第 2 段階、42% が第 3 段階)の調査対象企業にやや後れをとっています(図表 1 )。

データを活用したマーケティング実現のポイントは「経営トップのコミットメント」「アジャイル(機敏)な組織」BCG調査より

購買行動全体にわたり様々なモーメントで人々の文脈に合わせたコンテンツを提供できる第 4 段階、“Multi-moment”を実現するにあたっては、多くの企業がテクノロジー面および組織面の課題を感じています。

日本では「複数の消費者接点にわたるデータの関連付けができていない」企業が 91% にのぼったほか、「マーケティングプロセスの自動化がなされていない」企業が 67% 、「価値がどの消費者接点に由来するかを特定できていない」企業が 78% 、「機能横断の連携が適切に行えていない」企業が 61% という結果となりました。

日本では「経営トップのコミットメント」「アジャイル(機敏)な組織」がデジタルマーケティング高度化の重要なポイント

BCG では、数々のブランドや企業を支援した経験から、第 1 段階から第 4 段階に至る道筋を通じて、最大で売上高の 20% 程度の増加、マーケティング費用の 30% 程度の効率化が可能だと推計しています。

数々の課題を解決してこれを実現するために何が必要かを探るために、今回、日本の対象企業のデジタルマーケティング成熟度と特に相関が高い要素を特定する分析を行いました。その結果、経営トップが主導的な役割を果たしている、そして、アジャイル(機敏)な組織である、という 2 つの要素が最も重要であることがわかりました(図表 2 )。

データを活用したマーケティング実現のポイントは「経営トップのコミットメント」「アジャイル(機敏)な組織」BCG調査より

データを活用したマーケティングを高度化する上では、ビジネスの特性とテクノロジーの両面を理解した上で、成果を出すためには何から着手し、どのようにアジャイルなやり方を取り入れて取り組みを広げていくのか、その全体像を経営トップ主導で設計し、進めていく必要があります。

一方で、ボトムアップのアプローチにより、数年間かけてデータ基盤を作り上げることから着手してしまうと、成果が目に見えるまでに時間がかかるばかりか、データを統合するという初期のプロセスだけでも長い時間を要することになります。

多くの業界における市場成長が鈍化するなかでマーケティングを抜本的にデジタル化することは避けて通れません。それは従来の延長線上にはなく、多くの企業が今回の調査結果の第 3 段階から第 4 段階にある先進企業が通ってきた道に学ぶ必要があります。


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「デジタルマーケティング成熟度の向上」(BCGホームページ)
世界各地で多くの企業に対して行ったベンチマークスタディをもとに、データを活用してデジタルマーケティングの高度化を実現している企業が、各段階を上るためにどのようなステップを踏んでいるか、カギとなるイネイブラーにはどのようなものがあるかを紹介しています。

 

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