部分一致で CPA を抑えて獲得成果を 1.85 倍に——ディップ株式会社

藤野 亮 / 2020年2月 / 検索

運用効率向上は実現、獲得成果の拡大が課題に

ディップ株式会社は、アルバイト情報ポータルサイト「バイトル」、社員や派遣、パートの情報を集めた「はたらこねっと」など、幅広い人材情報サービスを提供しています。職を探しているユーザーの多くは「バイト 短期」「飲食 バイト」といったように、条件や職種、分野などで検索し、ニーズに合う仕事を探します。そのため求人情報サービス企業はどこも、検索連動型広告を重要なマーケティング戦略と位置付けており、その効率化や効果の最大化に注力してきました。

つまり求人情報サービス業界の検索広告への取り組みを見ていくことは、その最前線を知ることにもつながります。具体的な最近の取り組みでいうと、指定した目標コンバージョン単価に合わせてコンバージョンを最大限に獲得できるように入札単価を自動調整する「スマート自動入札(tCPA)」による業務効率化や、キーワードでなくランディングページとなる URL を指定することで、Google 広告のシステムがページに関連する検索クエリ(検索語句)を自動的に選んで広告を配信する「動的検索広告(DSA)」によるリーチ拡張の自動化、さらには「レスポンシブ検索広告」を使った機械学習による最適な広告パターンの出し分け、「データドリブン アトリビューション」によるコンバージョンに対するクリックごとの貢献度の評価などが挙げられます。

こうした取り組みの検証は必須である一方、拡大するビジネスを停滞することは許されません。実際、機械学習の活用により運用効率が高まったとはいえ、より多くの獲得を実現するには、これまで以上にきめ細かな登録キーワードとマッチタイプの検証が必要でした。もちろん、これまでもキーワードの検証は行っており、部分一致によって広告が表示される検索語句を拡張するテストも実施していましたが、実際にどこまで効果があったのかは検証しきれずにいたのです。

そこで効果を正しく検証するために、ディップ、広告代理店、そして Google の 3 社で新しくテストを実施することになりました。

部分一致へ広げた効果を 2 段階で丁寧に検証

テスト期間は 2019 年 9 月 18 日〜10 月 20 日までの約 1 カ月でした。目的は、最も拡張効果の高い単語(トークン)を抽出し、リスクを抑えながら検索語句の範囲を広げ、その具体的な効果を測ること。投資対効果(ROI)悪化のリスクを軽減しつつ、施策ごとの成果を見きわめるために、テストは 2 回に分けて実施することになりました。

9 月 18 日から約 2 週間で、最初のテストを実施。ここでは 2 単語以上の検索キーワードで「絞り込み部分一致」のものを「部分一致」に変更することで、新たに拡張できる検索語句を見つけます。数日おいて次の 2 週間で実施する 2 回目のテストでは、1 単語のキーワードを使って、その成果を検証していきます。フェーズを分けて段階的に進めることで、ROI 悪化のリスクを軽減しつつ、各フェーズごとの成果を見極められます。

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最初のテストでは、「バイト」との掛け合わせを含む「単発」「短期」「日払い」などの 2 つ以上の単語を組み合わせた検索キーワードの広告グループ、次に「営業」「販売」など職種、業種で検索する広告グループ、最後に「派遣」「アルバイト」「即日払い」など条件や特徴を組み合わせた 3 つの広告グループに分け、それぞれの検索キーワードを調整し、部分一致を行ってその成果を測りました。

2 回目のテストでは、検索語句の拡張が大きい完全一致の 1 単語を、絞り込み部分一致へ変更します。その際、各検索語句のレポートを参考に、効率悪化につながる言葉は除外してテスト配信を繰り返すことで、絞り込み部分一致への拡張で懸念していた ROI の低下を防ぎました。

2 回目のテストで CPA の高騰は抑えつつ、コンバージョン数は最大 185% 増

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複数の単語による検索キーワードを検証した 1 回目のテストでは、コンバージョン数は 112% まで増加し、顧客獲得単価(CPA) は 86% と改善しました。なお第 1 フェーズと第 2 フェーズを合わせた最終成果は、コンバージョン数 119%、CPA は 99% と許容範囲内であり、獲得単価は微増したものの、拡張による獲得成果は大きなものとなりました。

また、1 単語のテストである第 2 フェーズの成果を見ると、CPA は通常の 108% と同等ながらコンバージョン数が 185% に増加。獲得につながった 1 単語のキーワードで獲得につながった検索語句の種類をテスト前/後で比較したところ、その数は約 1.5 倍であり、そのうち新規の検索語句が 63% を占めることがわかりました。

除外キーワードの調整で応募者数の純増を達成

このテストを行うにあたり、2 回目のテストでの効率悪化に最も懸念がありました。今回、ROI を下げることなく、より大きな成果を上げられたのは、丁寧に検証を繰り返し、除外キーワードを細かく設定することで、無駄な検索語句の発生を防ぐことが功を奏したためです。これにより絞り込み部分一致へ拡大させつつも無駄なコストは最低限に抑え、またCPA を維持した状態で、反応する検索語句を増やして応募を純増できました。

部分一致の拡大によって期待する結果を得られのかどうか、その結果が正しいかどうかの検証方法について Google からアドバイスがあり、運用パートナーとすり合わせることでリスクを低減できました。

今回、「除外キーワードの設定を細かに行うこと」を徹底し、無駄な検索語句の発生、別キャンペーンで反応した検索語句を取らないようにしました。あわせて、部分一致を活用することによって、同じような意味のキーワードが反応するようになり、応募機会を創出することができました。

言葉並びの一致だけではなく、その検索キーワードの意図をくみ取り、より精度高く反応させられるようになり、今まで取りこぼしていた検索語句をカバーできるようになったことは大きな成果です。例えば、「面接なし 日払い」という登録キーワードで「来社不要 バイト」や「明日面接 バイト」という検索語句を捉えたり、「アルバイト 履歴書不要」という登録キーワードで「履歴書無しですぐに仕事できるところ探してます」という検索語句を捉えたりすることができました。

今までよりも反応する検索語句の範囲が広がったこと、同時に CPA が大きく高騰することなく、応募数が拡大したことを見ても、部分一致の拡大は効果的であり、今後は別のキャンペーンでも展開していきたいと考えています。

Contributor:
Google モバイルパフォーマンススペシャリスト 野々下智一
代理店ビジネスディベロップメント 中村まりあ

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