2018年 最新旅行トレンドとそれをビジネスに活かす (1/2)

2018 年もすでに半ばを過ぎました。今回は旅行業界のトレンドについて、先進企業での実例を踏まえ、2 回の連載でご紹介します。


前編 Google で分析した最新の旅行トレンド
後編 分析結果をビジネスの成長につなげる


前編のテーマ「Google で分析した最新の旅行トレンド」について、下記の 3 つの切り口から見ていきます。

1) 旅行の目的地として人気が高まり続ける日本
2) 多様化する日本への旅行者のニーズ
3) より高まる旅行者の自分最適への期待

1) 旅行の目的地として人気が高まり続ける日本

旅の目的地としての日本の人気の高さは、データを通しても読み取れます。


実数ベースの訪日外国人数は、2014 年から2017 年にかけて、年間 +29% と顕著に増加しています。それを裏付けるように、Google データにおける「日本を目的地とした旅行に関連する検索量」も +25%(同期間)と、実数に近い数値を示しています。


「世界全体の旅行関連の検索量」は +16%(同期間)であることから、旅行ブームは世界的に高いレベルで推移していることがわかりますが、旅行先としての日本への注目度は、世界の平均値よりも高いようです。2020 年に控えた東京オリンピックの影響も関係しているかもしれません。

2) 多様化する日本への旅行者のニーズ

次の切り口は、多様化する日本への旅行者のニーズです。1) で「旅行先としての日本」の人気の高まりをご紹介しましたが、実は日本という国そのものに対する注目度も増しており、さらに、そのニーズは多様化しています。


その証左に、Google データにおける「日本に関連する検索キーワード」も +22% (同期間)で増加を続けています。

図:日本に関連する検索キーワードの増加

図:日本に関連する検索キーワードの増加

日本に対する関心をさらに詳しく分析してみると、「観光」「日本食」「伝統」「コンテンツ」「ファッション」の 5 分野に大別できました。下記は、各分野の代表的な検索キーワードです。

図:日本への検索キーワードの大分類

図:日本への検索キーワードの大分類

さらに、それぞれの分類の中で、興味深い傾向をご紹介します。

観光

検索ボリュームとして、上位にランクインする観光地名には変化がありませんが、伸び率を見てみると、かなり違いが目立ちます。たとえば「Tokyo」(=東京)は +4%である一方、「Okinawa」(=沖縄)は +26% も成長していることから、日本を訪れる旅行者はすでに東京観光をある程度済ませており、さらに他の地域に注目を移しつつあると言えるのではないでしょうか。

図:日本の観光地に関する人気検索キーワード上位 5

図:日本の観光地に関する人気検索キーワード上位 5

それを裏付けるように、旅行客は日本国内での交通手段についても詳しくなってきており、「narita airport limousine bus」(=成田 エアポート リムジン バス)といった交通手段に関する具体的な固有名詞への検索も年率 +40%(同上)近く伸びています。


また、新宿などの東京エリアから日本各地に旅する「旅ナカ」の小旅行への関心も高まっており、「Shinjuku expressway bus terminal」(=新宿 高速 バス ターミナル)というキーワードの検索は年率 +40%(同上)近く上昇しています。

新宿からは、「shinjuku mount fuji bus」(=新宿 富士山 バス)、「shinjuku bus to kawaguchiko」(=新宿 バス 河口湖)、「shinjuku bus willer」(=新宿 バス ウィラー)など、旅ナカ旅行の目的地や、バスツアー会社名などを指定した具体的な検索も増加しており、ニーズの多様化がうかがえます。

観光に欠かせないのが、目的地と移動手段に加えて宿泊施設です。これについても旅行者は知識をつけてきており、多様なニーズが発生していることがわかります。たとえば、「Ryokan」(=旅館)という日本語を元にしたアルファベットの検索ボリュームは +40%(同上)近くで成長しています。 

さらに、宿泊施設へのニーズが地域ごとに異なるという、興味深い状況も浮かび上がりました。それぞれ、東京では「hotel」(=ホテル)、京都では「ryokan」(=旅館)、大阪では民泊サービス(Airbnb)の検索ボリュームが目立ちます。

下記は、「airbnb」(青)、「ryokan」(赤)、または「hotel」と「tokyo」、「osaka」または「kyoto」(黄)を、「hotel」とのかけ合わせの検索ボリュームを 1 として、検索量の相対比率を示したグラフです。

図:宿泊施設に対する地域ごとのニーズ

図:宿泊施設に対する地域ごとのニーズ

また旅行者は、観光イベントや名所に関しても知識を深めており、より具体的なキーワードでの検索が増えています(下記参照)。スキーや雪に関するニーズの高まりが特に顕著であることから、雪が降らない国からの観光客の強い関心がうかがえます。

図:日本の観光イベント、名所に関する人気検索キーワード上位 6

図:日本の観光イベント、名所に関する人気検索キーワード上位 6

伝統文化

日本の伝統文化関連のキーワードのうち、アルファベットによる検索で人気の高いものは、昨今の日本ではあまり耳にすることのない「ninja」(=忍者)や「samurai」(=侍)です。たとえば「ninja」は、日本ではまだ習い事やスポーツとして人気のある「karate」(=空手)の 5 倍、「sumo」(=相撲)の 7 倍 、「judo」(=柔道)の 9 倍です。


「samurai」については、福島県が中心となって行った、訪日観光客を対象としたデジタルプロモーション キャンペーン動画「ダイヤモンド ルート ジャパン」中の侍を特集した動画が 2 年間で累計 825 万回以上の視聴回数(*1)と、人気を博していることも一因と考えられます。ちなみに、このキャンペーン動画シリーズ (総計 10 本) の総視聴回数は 3,200 万回でした。

図:伝統文化に関する人気の検索キーワード上位 5

図:伝統文化に関する人気の検索キーワード上位 5

3) より高まる旅行者の自分最適への期待

最後のトレンドとして、高まりつつある旅行者の自分最適への期待をご紹介します。


スマートフォンの普及により、位置や時間を反映した情報が簡単に手に入るようになりました。その結果、旅行者の自分最適に対する期待値はいっそう高まっています。

たとえば位置情報を入力せずに検索する「Sushi near me」(=ここから近くの 寿司)というキーワードは、日本到着後でも +257% と大きく伸びています。また、「hotel near me」(=ここから近くの ホテル)は、+173%(2017 年と 2018 年の第一四半期比較)で増加しています。


時間を指定せずに宿泊施設やレストランを調べることはもはや当然であり、「(宿泊施設名)today」(=今日空いている 宿泊施設)や「Tokyo Tower open 」(=東京タワー 営業しているか)などのキーワードの検索数も増加の傾向にあります。

図:日本旅行客の自分最適への期待値の高まり

図:日本旅行客の自分最適への期待値の高まり

まとめ

前編では、1)旅行の目的地として人気が高まり続ける日本2)多様化する日本への旅行者のニーズ3) より高まる旅行者の自分最適への期待という、Googleのデータから浮かび上がってきた 3 つのトレンドをご紹介しました。後編では、これらの動きをすでにビジネスに活かしている企業の実例を見ていきます。

2018年 最新旅行トレンドとそれをビジネスに活かす (2/2)