2018年 最新旅行トレンドとそれをビジネスに活かす (2/2)

中山 恵里加, 三浦 朗子, 秋本 康行 2018年7月 検索, 生活者インサイト, 旅行

前編「Google で分析した最新の旅行トレンド」では、以下の 3 つの旅行トレンドをご紹介しました。

1) 旅行の目的地として人気が高まり続ける日本
2) 多様化する日本への旅行者のニーズ
3) より高まる旅行者の自分最適への期待

後編の「分析結果をビジネスの成長につなげる」では、前編の分析結果を反映した企業の先進的な実例を詳しく見ていきます。

旅行先として高まり続ける日本熱を事業拡大に結びつける

KNT-CTホールディングス(現KNT-CTグローバルトラベル)は、旅の目的地として日本が依然として高い人気であり、さらに 2020 年には東京オリンピックが控えていることなどを踏まえ、「YOKOSO Japan Tour」と銘打った着地型ツアーを実施し、旅ナカ需要をつかむことを狙いました。

同社は従来、顧客獲得のための広告は海外のみ展開していました。しかし、日本を訪問している旅行者のなかで、主体的に着地型ツアーを探す人もターゲットにしたいと考え、2017 年 2 月より英語と中国語(繁体字)の検索広告を日本市場でも開始しました。

その結果、ツアー予約(コンバージョン)数は +11.4%と大きく増加しました。また予約獲得単価についても、海外と比較して日本では 11.5% も低い数字を達成することができました。

さらに特徴的だったのは、予約に用いられたデバイスです。同社では、同時期の海外からのスマホでの予約は約 25% だったのに対し、来日後の予約は約 40% がモバイル経由でした。いわゆる「タビナカ」という、旅行先での小旅行はスマートフォンで情報収集することが当たり前になりましたが、さらに予約までスマートフォンで済ませてしまうという事実が、現在の旅のトレンドをよく表しているといえます。

図:「YOKOSO Japan Tour」

「YOKOSO Japan Tour」

多様化する旅行者ニーズを掴むため、機械学習を活用して最適なメッセージを届ける

次は、多様化する日本への旅行者ニーズを効率よく捉えたマーケティング事例です。前編でご紹介したとおり、訪日旅行客は日本に関する知識を高めており、関心のある内容も多岐にわたります。そのように多様なニーズのすべてに対し、人力でマーケティング メッセージを届けることは極めて困難です。事実 Google 検索では、毎日 5 億種類の新しいキーワードの組み合わせが検索されています (旅行業界に限定しない)。(*1)


そこで、海外旅行・海外ツアー比較検討サイトのエイビーロード(AB-ROAD) では、機械学習を応用したGoogle 日本発のワードミックスモデル(Words Mix Modeling 、WMM)(*2)と名付けられた技術を採用、広告コピーを単語レベルに分解し、個別の旅行客に最適化したメッセージを作成し、届けるという施策を行いました。その結果、インプレッション数は +44%、広告クリック数が +53%、コンバージョン数(サイト経由問い合わせ数)も +44% と、競争の厳しいオンライン旅行業界において注目に値する成果を達成しました。

図:エイビーロードが採用した技術の仕組み

エイビーロードが採用した技術の仕組み

高まり続ける旅行者の自分最適への期待値に応える

最後に、高まり続ける旅行者の自分最適への期待値を、うまくマーケティングに活用して事業成果につなげたANA(全日本空輸)の事例をご紹介します。


今の時代の旅行者が求めているのは、詳しい情報を入力しなくても、自分のために最適化された情報が簡単に手に入ることです。

ANA は、旅行サイトを来訪した閲覧者、および特定のページの閲覧者それぞれに対し、出発地・目的地・価格が含まれた広告を自動的にメッセージとして旅行検討者に届けることで、このニーズに応えました。旅行者と企業双方にメリットのあるコミュニケーションが奏功し、他のディスプレイ広告キャンペーンと比較し、 航空券予約単価(CPA)を +70% も改善することができたのです。

図:ANAが個人に最適化した広告メッセージ

ANAが個人に最適化した広告メッセージ

移り変わりの激しい旅行業界において、先駆けてトレンドを理解し、新たな技術をうまくビジネスの成長に結びつけた企業を 3 例ご紹介しました。貴社のマーケティングに役立てていただければ幸いです。

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