Google Design Sprint のフレームワークを導入し、 アナリティクスを活用したモバイルサイトの UX 体験の改善で登録者数 1.64 倍に - レバテックフリーランスの事例より

高柳 岳士, Chloe Sit 2019年3月 顧客体験(UI/UX), 人材

働き方ニーズの多様化などの影響もあり、フリーランス実態調査 (*1) によると日本における 2018 年のフリーランス(副業・兼業を含む業務委託で仕事をする人)の数は 1,119 万人に達しています。これが日本の人口に占める割合は 17%、経済規模は初めて推計 20 兆円を突破しました。

特に最近ではスマートフォンから求人を探す、会員登録する、というユーザーが増えており、実際にスマートフォンから求人情報を見た経験があると回答したオンラインユーザーは4 割近くになります (*2)。こうした背景から、モバイルサイトの使いやすさ、ユーザーインターフェイスの向上の重要度が増していました。

そこで フリーランスエンジニア向け IT 求人情報サイト「レバテックフリーランス」(以下、レバテック) は Design Sprint と呼ばれる Google との ワークショップに参加し 、Google アナリティクスのデータを分析し、Design Sprint で洗い出したアイデアをプロトタイプとして具体化しモバイルサイトを改善を実行。大幅な登録者数増加に成功しました。Design Sprint はどんなフレームワークなのか、どんな分析を行い、どんな改善が成功につながったのか、その取り組みをご紹介します。

アナリティクスを使った分析~施策決定のポイント

適切なサイト分析のためには、まず最初に何のために分析するのか「目標」を設定することが大切です。目標が決まると、みるべき指標もクリアになります。

レバテックの目標は、モバイルサイトの新規会員登録数(スキル情報登録含む)の向上でした。そこでアナリティクスを使い、登録にいたらないユーザーは、どのページで離脱しているのか、全ページの離脱率を Google アナリティクスで分析しました。Google アナリティクスでは、訪問者数、離脱率、コンバージョン経路など、さまざまな切り口の分析が可能です。

その結果をみながら、どのページを優先的に改善すれば、今回の目標達成につながるのかを考察していきました。結果、スキル登録フォームでの離脱率が特に大きく、目標達成への貢献度も高いと判断。サイト改善施策としてスキル登録フォームの改善に注力することにしました。

Design Sprint で洗い出したアイデアを具体化しモバイルサイトの改善を実行

Design Sprint はビジネス課題を特定し、解決するためのアイデアをチームで共有し、短時間で「理解」→「スケッチ」→「アイディアの精査」→「プロトタイプ作成」→「テスト・検証」という 5 つのプロセスを行うプログラムです。今回、レバテックは決裁権のある人を含め、チーム全員で課題に取り組み、さまざまな視点からアイデアを洗い出しました。チーム内意思統一が促進され、全員が納得した上で、効率よく作業を進めた結果として、洗い出したアイデアをプロトタイプし、具体的な改善設計を実行しました。

 フォームの入力設計で重要なことは、完了までの手間をできるだけ省くことです。具体的な改善としては、「自動機能で入力を簡単にする」「入力項目ごとに最もシンプルな入力方法を選択する」などいくつかありますが、レバテックで行った主な施策はこちらの 3 つでした。

  • 登録フォームのステップ数を 4 つから 3 つへ簡略化
  • スキル入力の際に自由記述を減らし、選択式に変更
  • 1 つのスキルを選ぶと次の質問・選択肢が変わる動的仕様に変更
Google Design Sprint のフレームワークを導入し、 アナリティクスを活用したモバイルサイトの UX 体験の改善で登録者数 1.64 倍に - レバテックフリーランスの事例より

この変更により、エンジニアにとって必要最低限かつ自分の持つスキルに関係ある適切な質問が表示されるようになり、時間的手間の削減だけでなく心理面でもスムーズに入力完了まで進めるようになることを目指しました。

レバテック側からみても、登録者が正確なスキル情報を入力することで、「いま多い求人に適した人材か」「需要が多いスキルを持っているか」など、登録の次のステップとなる「面談」の優先順を決めやすく、適切で迅速なマッチングに役立つ、というメリットもあります。

モバイルサイト改善の成果は

今回のモバイルサイト改善案と従来のページを AB テストした結果、改善案において離脱率が大きく改善され、目標としていた新規会員登録数が 1.64 倍に増加しました。さらに売上への波及効果も計算したところ、数億円単位の売上改善につながったとのことです。ユーザーインターフェイスの向上が、登録数増加だけでなく、登録情報の質にも影響し、ビジネス的成果につながった事例となりました。

図:改善前後での新規会員登録数

Google Design Sprint のフレームワークを導入し、 アナリティクスを活用したモバイルサイトの UX 体験の改善で登録者数 1.64 倍に - レバテックフリーランスの事例より

学び

今回の成功について、レバテックでは Design Sprint をきっかけとした、大組織を動かす勢い作りが大きかったと考えています。

担当者個々人で抱えていた問題意識を、ワークショップをきっかけに膝を突き合わせ関係者で議論をした結果、大きな流れを生み出すことができました。また、ワークショップで一気に課題を分解し、それぞれに責任を与えることで、迅速な課題解決に結びつきました。実際に、最終イメージをワークショップ当日に合意でき、データベース項目の再編や営業フロー変更など、組織を横断した実装までも二か月という短期間で行うことができました。

今後の展望

「当社では以前から、モバイルサイトからのスキル情報登録率をあげたいと考えていました。ですので、今回 Google アナリティクスで全ページの離脱率を調べ、スキル情報入力フォームからの離脱率が高かったことには納得感がありましたし、改善すれば登録率があがるかもしれない、ということにも説得力を感じました。

どうすればエンジニアが簡単に、持っているスキルをしっかり入力してくれるのか、チームで何度も意見交換を行い、見栄えだけでなくいま可能な技術的アプローチもいろいろ検討したことが、今回の成功につながっていると思います。

広告施策を考えることも重要ですが、今回のようなサイト改善が、売り上げ増加にもつながることがわかったので、今後もアナリティクスでの解析、サイト改善、効果の検証を重ねていきたいと思います。」レバテック株式会社 代表執行役 林英司氏

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