メーカーと流通の新たな販促の形: アサヒビール社の事例より

町田 果奈, 大塚 武 3月 2018 ビデオ, 食品

メーカーが、自社商品の魅力を伝えつつ流通と協働して広告・販促活動を行う際に、デジタル広告を活用する動きが進んでいます。 これまでも、新たな発想で流通との取組みを進めるメーカーの販促活動を紹介してきましたが、今回はアサヒビール株式会社(以下、アサヒビール社)と株式会社読売広告社(以下、読売広告社)が流通のプライベート商品とタイアップして YouTube を活用した事例を取り上げます。


アサヒビール社は「アサヒ ドライゼロ」(以下、ドライゼロ) と 「アサヒ スタイルバランス 香り華やぐハイボールテイスト」(以下、スタイルバランス)の北海道の主要エリアでの販促活動にあたり、アークスグループの中核企業である株式会社ラルズ(以下、ラルズ社)と協業しました。


ラルズ社は、スーパーマーケット「スーパーアークス」、「ビッグハウス」、「ラルズマート」など 70 店舗を展開しており、総菜などのプライベート商品の開発・販売にも力を入れています。


アサヒビール社と読売広告社は、ラルズ社の「漬け込みザンギ」との組み合わせで、それぞれの商品の魅力を「絶妙な飲み方」で提案するメッセージを開発。ザンギとは、鶏もも肉を醤油ベースのタレに漬け込んで揚げた北海道で人気の唐揚げです。今回は、ラルズの漬け込みザンギを食べながら、ドライゼロとスタイルバランスを飲むという「たまらない組み合わせ」を訴求した動画広告を展開しました。


採用した手法は、YouTube の  6 秒動画 バンパー広告 と TrueView 広告を、ラルズの店舗があるエリアの 25 歳以上のユーザーをターゲットに配信するというもの。YouTube 動画広告の配信により、バンパー広告か TrueView 広告のいずれかに接触した人は約 45 万人(*)にのぼりました。ユーザーとの情報接点が多様化する中で、流通の店舗がある地域のターゲットユーザーに限定しながら、数多くのユーザーにメッセージを届けることができました。

さらに、 同時期に店頭にディスプレイを設置し、YouTube 動画広告を活用しました。店頭入口正面の大型モニターで動画を展開して店舗の盛り上げにつなげたほか、動画のメッセージに合わせて、ラルズの漬け込みザンギとドライゼロとスタイルバランスを惣菜コーナーの棚に並べることで、顧客が実際の食事シーンを想起しやすい棚づくりを実現しました。

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広告に加えて店頭でも動画を活用したことで、目の前にある商品の魅力を的確に伝えることができました。またメーカーにとっては、新しい棚でも商品の販売機会を創出することができたのです。


結果として、キャンペーン実施店舗におけるドライゼロとスタイルバランスの商品出荷量が上昇。広告対象である 2017 年 11 月と 12 月は、前年同時期比でドライゼロはそれぞれ 104%、115%、そしてスタイルバランスは 121%、140% と、共に大幅に向上するという結果につながりました ( ドライゼロは、キャンペーン前の過去3ヶ月では前年同時期比を下回るトレンドから反転、スタイルバランスは前年同時期比を上回るトレンドで上昇率がアップ ) 。また、漬け込みザンギの販売量は、ダウントレンドから上昇へと転換し、各店舗の店長からも「このキャンペーンはとても魅力的だった」と好評でした。


広告を、メーカーが強化したいエリアや流通店舗がある商圏に特化して投資し、さらにそのコミュニケーションを流通のプライベートブランドとタイアップさせる取組みによって、メーカーと流通双方の課題を解決できる形に昇華できる可能性があります。このスキームを巧みに設計すれば、実は、顧客の新たな発見に結びつくメッセージや具体的な利用シーンを効果的に醸成することにもつながるのです。


また昨今、さまざまな流通の店舗で、動画サイネージの設置が進んでいます。動画広告は店舗内のサイネージでも動画広告を活用できるという観点からも、動画を基軸とした協働販促は有効な打ち手となっています。今回紹介したように、メーカーのブランドと流通のプライベート商品によるデジタルを活用した協働は、販促の新しい形の 1 つとなっていくのではないでしょうか?

メーカーと流通の新たな販促の形: 味の素社の事例より