伝えたい人に届く、効く、 YouTube。日経 xTREND FORUM TOKYO 2019より

Think with Google 編集部
/ 2019年11月 / ビデオ

生活者に確実にリーチして高い広告効果を獲得するためには、最適なメディアプランとともに、生活者に適したメッセージを届けることが重要です。今回は、YouTube でターゲットへのリーチを最大化し、店頭来店効果までを可視化して成果をあげたブランドの事例から、いま必要とされている広告プランニングを考察します。

本記事は、日経 xTREND FORUM TOKYO 2019のセッション(2019 年 7 月 25 日開催)をもとに作成しています。登壇者はコーセーの小林祐樹氏(宣伝部宣伝企画・PR課課長)、

サムスン電子ジャパンの荻原泰邦氏(モバイルコミュニケーションマーケティンググループシニアプロフェッショナル/課長)、グーグルの中村全信(YouTube プロダクトマーケティングマネージャー)。

●クリエイター、視聴者、広告主で成り立つ YouTube エコシステム

中村:YouTube は、動画を投稿するクリエイター(企業を含む)、視聴者、広告主の 3 つで成り立つエコシステムです。クリエイターが動画をアップロードし、視聴者がそのコンテンツを視聴する際に、広告主が出稿する広告を見たり、クリックしたりすることで、クリエイターにも収益が生まれます。そこで、マーケターとして「動画を見る目的で YouTube に訪れる視聴者とどのようにコミュニケーションすべきなのか」という視点で、まずはこの動画をご覧ください。

●テレビと YouTube:リーチと効果を最大化するためのメディアプランニング

今、グローバルで YouTube をログインして利用する視聴者は、月間 20 億人(*1)、YouTube 視聴時間全体の 70% 以上の視聴がモバイル(スマートフォン、タブレット)からのものです(*2)。また日本では、YouTube の月間利用者は6200万人(*3)。18 - 64 歳のインターネット利用者における YouTube 利用率は 82%(*4)です。

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そして YouTube の特徴は、Viewability と Audibility という言葉で説明できます。Viewability は、広告が表示される画面の中で広告の視認性がある状態で表示されているかを指し、Audibility は、音声がオンの状態かを意味しています。YouTube は、視認性が高く音声がオンで見られているのが特徴です。YouTube 以外の日本の動画広告の Viewability が 64% なのに対して、YouTube は 95%(*5)で、Audibility も 95%(*6)となっています。

例えばテレビ CM を出稿している広告主は、音楽や音声にもこだわって作っておられます。YouTube では、視認性が高いだけではなく、音がオンになってる状態であるAudibility が 95% というのは大きな特徴です。

YouTube でリーチプランニングをしていく上では、大きく 3 つのポイント(*7)があります。

1.Planning : Extra Reach

クロスメディアでのプランニングのシミュレーションの段階においては、Extra Reach というツールで、テレビと YouTube を掛け合わせると、対象人口に対して実際どれぐらいのリーチが実現できるかを見ることができます。

2.Reporting : X-media Reach Reporting

キャンペーン実施後のレポーティングの段階では、実際にどれぐらいの追加のリーチを発生させられたのか、テレビ CM と YouTube でどれぐらいのリーチコストに違いがあったのかを可視化できます。

3.Measurement : X-media Brand Lift

効果検証で「どれくらいの効果があったか?」とインパクトを計測する段階では、Brand Lift 、つまり検索の変化をみます。検索は人々の欲求の表れです。人は知らないものは検索できませんので、広告から刺激を受けて興味を持って検索をするという行為が、テレビ CM と YouTube を使った時にどれぐらい差があるのかを見ることができます。

これら 3 つをしっかり組み合わせていくことが非常に有効です。これらをきっちり実践されている企業の取り組みをこれから紹介します。

●コーセー:Google Preferred で「しっかりと視聴者に見てもらえる状況になった」

小林氏:コミュニケーションする時には、企業としては当然、クリエイティブを意識すると思います。特に化粧品の場合は、機能だけではなく感性をお伝えすることが重要になります。当社は全てのクリエイティブの最終決裁者が社長であることに象徴されるように、クリエイティブには強いこだわりを持っています。

実は、YouTube を活用していない時期もあったのですが、Google Preferred によって、コーセーの動画広告クリエイティブをしっかりと視聴者に見てもらえる状況になったので、ブランディングに非常に活用しています。

中村:Google Preferred について補足させていただきますと、 YouTube の人気のクリエイターや音楽レーベルなどのトップ 5% の人気のチャンネルをまとめたは特別なパッケージです。スキップができないタイプの広告を 15 秒間配信ことができます。

まずは、コーセーさんの ESPRIQUE の 3 つの広告フォーマットで展開した事例をみてみましょう。1 つ目は、Google Preferred でテレビCMをそのまましっかり最後まで視聴していただく目的のものです。(編集部注:この動画は現在公開を終了しています)

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2 つ目は、TrueView という動画広告の開始5秒後にスキップできるものです。モバイル環境を意識して、スクエアの四角い形にして、画面の下部にテキストと画像をつけたクリエイティブとなっています。

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そして、3 つ目は、6 秒間で広告が終わるバンパー広告です。

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小林氏:テレビでは届かないインクリメンタルなリーチに加えて、態度変容に向けたコミュニケーションを行った成果をしっかり見ることができることがデジタルへの期待値です。そして、注目していただきたいのは、リーチコストがテレビの半分以下と、テレビより効率が上がったという点です。特にターゲットである F1 層に対するリーチコストの効率が改善しています。

テレビ CM をやる力があるから実現できた数字だという点ではありません。テレビ CM のみの場合は、億近くの予算がなければ、このようなリーチや態度変容を実現することができません。

YouTube のいいところは、予算がないところでも効率良く、かつ、グロスの予算も下げながら、例えば、1000 万円でも全国的にリーチを取るためのトライができる点だと感じています。また、テレビCM に入れられないような情報をテキストや画像でセットで届けられるところも、 YouTube ならではのクリエイティブだと思います。

中村:次は、Fasio の事例です。テレビ CM 素材を活用した Google Preferred とコーセー初の YouTube 専用動画広告を制作し、6 本のバンパー広告で展開したものです。

小林氏:Fasio のこの事例で、改めて YouTube 活用の可能性を認識するきっかけになりました。メイクブランドの Fasio の中でも、まつ毛をきれいに上にあげるマスカラが対象の商品です。マスカラは一般的には、泣いたり汗をかいてしまうと目のあたりが黒くなってしまうことがありますが、そのような心配がない商品だということを伝えようとした動画です。

ファシオ E-girls「エクステいらないかも」篇 【FASIO-ファシオ/マスカラ】

中村:6 本のバンパー広告については、どれが最もブランド認知度が上がったかという視点で見てください。

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左上:https://www.youtube.com/watch?v=vAzsrRp3mF8
中央上:https://www.youtube.com/watch?v=-tngD1gOvFo
右上:https://www.youtube.com/watch?v=YqSUdW0a0ls
左下:https://www.youtube.com/watch?v=XgsqvAZuNxs
中央下:https://www.youtube.com/watch?v=zFVXlrAC6Is
右下:https://www.youtube.com/watch?v=sqwKCCMnFOg

小林氏:15 秒の Google Preferred で配信した広告では全く触れていない点なのですが、最もブランド認知度が上がったのは、「パンダを見に行ったら、私まで、パンダ目になっていた。」でした。この「パンダ目にならない」といのうは、落ちないマスカラというカテゴリーでは共通の機能で、 Fasio 特有のものではありません。 そのため、テレビ CM で扱うほどのものではないものの、現場としては試験的にやってみたいという思いがあったものでした。ブランド認知が上がるだろうという予想のもとに制作したら、結果は予想通りだったので、これからもデジタルでは「パンダ目」の訴求をしていく可能性があることが、今回のクリエイティブテストを通じて、改めて分かりました。

荻原氏:テレビ CM は、15 秒や 30 秒の素材がメインですので、6 秒の素材を 6 パターン制作して展開するのは、簡単に見えて意外と難しいチャレンジだったのではないでしょうか。

小林氏:はい、確かにはじめは難しいものでした。これまでは、15 秒や 30 秒のクリエイティブが当たり前だったので、 6 秒の動画を制作するという話を最初にした時は、クリエイターの人たちからかなり抵抗がありました。しかし、結果も出てきている中で、最初からバンパー広告をプランの中に入れるのも当たり前になってきています。撮影時にバンパー広告用の素材をあらかじめ撮っておくのも、標準の対応として認識されるようになっています。

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結果的にも、YouTube のインクリメンタルリーチが 20% という結果になりました。当社の別の調査でも、20 代の方は 3 - 4 割が全くテレビを見ないということが分かっているので、効果を明確に実感しています。

荻原氏:YouTube をすごく有効活用して、リーチだけではなく態度変容まで成果を出されているのは、工夫をされているからこそだと思います。

●サムスン電子:来店コンバージョン計測を活用

中村:次に、サムスンの事例を、生活者に寄り添うメッセージと来店効果の可視化という観点で考えてみたいと思います。

今までのプランニングをベースで考えると、例えば 25 - 34 歳の女性といったデモグラフィック属性でターゲティングしましょうとなった場合に、同じような性別・年齢属性でも、人として全然違う生活者であるというのは、非常に当たり前の話です。

今、これだけ取捨選択が始まっている時代で、YouTube の場合は特にスキップできる広告も多いので、それぞれの生活者にとって関連性が高く、価値ある広告を届ける必要があります。実際に自分に関連性が高いと思う広告に対して、 3 倍アテンションを得られる傾向があるということも分かっています。

では、YouTube ではどのような広告が配信できるのかというと、詳細なデモ・ユーザー属性は当然ながら、個々の生活者の興味・関心や意図に至るまで、認知から購入までのあらゆる段階に対応しています。「化粧品に興味がある」とか「引っ越しを検討している」などの場合は、それらに興味を持っている対象となる方だけに広告を届ける仕組みがあります。また、モバイルでユーザーの意図を捉えターゲティングしたキャンペーン を実施した結果、広告認知が 20% 、ブランド認知が 50% 向上したという結果もあります。

また、YouTube を視聴していて「新しいブランドを発見した」「YouTube で見つけた商品を実際購入したことがある」という人も大きく増えてきています。さらに、 YouTube で広告を視聴した方のうち、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアなどに「実際どれだけの数の方々が来店に至っているのか」を可視化する取り組みを進めています。具体的には、アフィリエイト住所表示オプションと来店コンバージョン計測を組み合わせることで、「YouTube の動画広告を見た方が実際に店頭に来店したか」を可視化し、成果を実感されている企業も増えてきています。

今回は、実際に来店コンバージョン計測を活用されている企業として、サムスンさんにお越しいただいています。

●バンパー広告後に TrueView を見ると購入意向が 3 割増

荻原氏:コミュニケーション・プランニングの大前提としては、皆さんご存知の通りスマートフォンが日本でも発売されて 10 年経っているので、製品としては既にコモディティ化しつつあるという状況にあります。加えて、サムスングループとしては、グローバルのスマートフォン市場では多くのマーケットシェアを獲得できていますが、日本ではマーケットシェアが 10% 前後と苦戦しています。また、外資の企業のため、ヘッドクオーターで作られたクリエイティブを日本においても展開するというのが基本という環境です。

その中で、デジタルに対する期待としては、リーチをしっかり獲得していくことはもちろんのこと、デジタルだとやはり、消費者との深さのあるコミュニケーションができるため、エンゲージメントを創出できる点に非常に期待しています。さらには、デジタルだと投資対効果をしっかり数値で可視化できるというメリットも大きいと感じています。

Galaxy Note 9 では、商品特性に合わせたターゲティング で、メッセージのクリエイティブも作り分けるというチャレンジをしています。

1 本目に、見て頂くのがテレビ CM のものです。

Galaxy Note9:テレビCM「ライフスタイル」篇

その後、2 つ見ていただくのが、音楽・旅行・アウトドア・ゲーム・ビジネスなどのジャンルで切って YouTube 専用として制作した動画広告です。(編集部注:この動画は現在公開を終了しています)

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中村:テレビ CM よりも、ターゲティングによってクリエイティブを分けた方が来店率が高く、来店コストも低いという結果になっていますが、どのように受け止められていますか?

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荻原氏:1 つ目にご紹介したテレビ CM の動画は、グローバル共通でメーカーとして伝えたいことを詰め込んだものです。一方で、日本で制作した YouTube 専用 の動画広告では、後半はターゲットである若年層の方に、利用シーンやベネフィットが想起できるようにしています。共感を生んだ方が、行動を促しやすいと実証されている結果だと思います。

中村:さらに 1 つご紹介したいのが、動画広告シーケンス(VAS)でバンパー広告の次に TrueView を配信して、ストーリーテリングのアプローチをしたという事例です。1 話の動画を見た後に、2 話の動画を配信するという順番を設定して、配信しました。(編集部注:この動画は現在公開を終了しています)

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このバンパー広告を見た方に、次に配信した動画です。

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この結果、バンパー広告のみを見た方は購入意向が全く上がらなかったのですが、バンパー広告を見た後に TrueView を見た方は、31.8% と大幅に購入意向が高まりました。

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荻原氏:3 割以上の購入意向のアップリフトは、当社が YouTube を活用してきた中でも、突出した数字でした。やはり、ストーリーテリングで、しっかり消費者に対して製品特性を伝えていくということが非常に重要だったと思います。

●YouTube 動画広告を活用する 3 つのポイント

中村:限られた時間で事例をご紹介してきましたが、動画広告を活用するポイントは以下の 3 つがございます。

①テレビ CM と YouTube を組み合わせ、リーチを最大化

デジタルの広告をテレビ CM と掛け合わせることによって、届けたいお客様に対し、メッセージをしっかり届けるという大前提を作りましょう。

②興味・関心・意図に基づいたターゲティングで生活者に寄り添う広告配信

同じクリエイティブではなく、興味関心に沿ったクリエイティブをターゲティングしてお届けすることで、効果も出やすくなる。一方通行なメッセージではなく、生活者の意図に寄り添ったメッセージを心がけましょう。

③メーカーも来店データを蓄積 店頭のプランニングに活用

メーカーは広告による小売店舗への集客がどれくらいあったのかが見えない環境にありましたが、デジタルによって可視化できるようになってきました。小売店頭のマーケティングにもっとデジタルを活用することで、売りにつながる広告が展開しましょう。

以上の 3 つのポイントを実践いただき、マーケティング目的に応じて YouTube を使い分けていただけますと幸いです。

登壇者

コーセー 宣伝部 宣伝企画・PR課 課長 小林 祐樹
サムスン電子ジャパン モバイルコミュニケーション マーケティンググループ シニアプロフェッショナル / 課長 荻原 泰邦

グーグル YouTube プロダクトマーケティングマネージャー 中村 全信

チラシから YouTube 動画広告へ- 来店単価を大幅に削減した IDOM の事例