旅行検討者の興味に寄り添った多様な動画広告のビジネスインパクト - 楽天トラベルの事例から

恒川 里奈 / 2019年8月 / ビデオ, 旅行

これまで楽天トラベルは、オンラインコンバージョンを効率よく獲得するため、検索連動型広告やリマーケティング広告に加え、一般的にはブランディング目的で活用される動画広告も積極的に採用してきました。同社はさらに、これまでの取組みで動画広告がコンバージョンに寄与すると実証できたことから、ユーザーごとに異なる興味・関心を捉え、適切なクリエイティブを配信すれば、より効率的なコンバージョンの獲得につながるという仮説のもと、新たな施策を実施しました。

今回のマーケティング施策は、以下の 3 点を実現するためのものです。

(1) 顕在的に旅行を検討している層に対して楽天トラベル スーパー SALE の認知を獲得
(2) セール期間中のサイト訪問者数を高める
(3) 売り上げの最大化を実現する

これらの目的を達成するために、まず旅行検討顕在層を細かく分類しました。その上で、各ターゲット層の興味やニーズに合わせた動画広告を配信することで、より効率的にサイト訪問を促すという施策を行いました。

Director Mix を活用し、目的地別に 55 パターンのクリエイティブを制作

楽天トラベルは、まずカスタムインテントを利用して、旅行先となる目的地に興味関心の高いターゲットグループを作成。その後、旅行の目的地ごとにカスタマイズされた動画クリエイティブの制作のため、ベースとなる動画と音声、画像など動的に組み合わせることが可能な Director Mix を活用して、各 55 パターンのバンパー広告と TrueView 広告を制作し、配信しました。

これにより、たとえば「北海道」を検索しているユーザーに向けて、北海道旅行と楽天トラベル スーパー SALE を訴求する動画を配信することができるようになりました。

配信するターゲットを絞り込み過ぎた場合、想定どおりに広告配信ボリュームが伸びないこともありました。しかし、カスタムインテントの成功事例を参照し、複数のターゲティング方法を追加してターゲット層を広げたことで、結果的に配信ボリュームの規模を維持しながら効果を最大化できました。

配信対象とクリエイティブの比較による広告効果検証

動画広告の接触者と非接触者を比較した「広告想起」、「ブランド認知」、「検索行動のアップリフト」を検証しました。さらに地域ごとに接触者と非接触者のグループを作成して、エリア別配信テストを行い、サイト訪問やコンバージョンを計測しました。

クリエイティブの効果は、「画一的な動画広告」と、「旅行者それぞれの興味関心に合わせた動画広告」をともに配信することで、どちらが実際にサイト訪問により効果があったのか比較検証しました。

検証結果と今後に向けて

検証の結果、検証指標の全てにおいて「興味関心に合わせた動画広告」の効果が実証されました。さらに「画一的な動画広告」、「興味関心に合わせた動画広告」とともに広告効果を認めることができましたが、各指標に対するアップリフト効果については、今回の動画広告がより高いという結果になりました。

具体的には、「興味関心に合わせた動画広告」と「画一的な動画広告」のアップリフト値 (*1) の差分は、広告想起で +6.1 ポイント、ブランド認知で +3.1 ポイント、ブランド検索では +21.1 ポイント となり、 となり、いずれの指標においても「興味関心に合わせた動画広告」の効果が上回っており、動画広告クリエイティブをユーザーごとに最適化することの有用性が確認できました。

また、エリア別配信テストの結果からは、仮に動画広告を実施しなかった場合に対してサイト訪問数で +6.6% のアップリフト (*2) があったことがわかりました。この検証により、動画広告が実際のコンバージョンに結びついたことが確認できました。

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さらに、「テレビCM の配信・非配信」と「カスタムインテントによる YouTube 広告配信」の組み合わせで比較したところ、テレビCMとYouTube 両方の配信を行った場合に、顕著な相乗効果が確認できました。また、「サイト訪問数」において、さらに、テレビCM の配信・非配信とカスタムインテントによる YouTube 広告配信の組み合わせで比較したところ、テレビCM とYouTube 両方の配信を行った場合に、最大で +10% のアップリフト (*3) という高い水準の効果が現れました。

一連の効果検証を終えた今後に向けては、楽天株式会社コマースカンパニー トラベル事業 編成・マーケティング部 マーケティングコミュニケーショングループ ヴァイスマネージャー齋田 賢二 氏は.、今後の展開に向けてこのように語ります。

「いつ、誰と、何を目的に、どこへ、どんな旅をするかは人によってさまざまです。このため、旅行者ごとの特徴やニーズを理解し、それらに合った旅行商品を用意し、適切に届けていくことができれば、従来の画一的なコミュニケーションより、もっと旅行者を幸せにできると信じています。今回の取り組みを通じて、旅行者ごとに異なる『旅行の目的地』に応じたパーソナライズコミュニケーションが有効であると明らかにすることができました。今後も多角的な切り口で新しい取り組みにチャレンジしていきます」

contributor

古屋友美 / 青山紘子 / 麦島 修 / 久野 修

JR 東日本 JR SKISKI :継続的な広告効果の分析により、テレビ CM の投資配分を最適化