動画広告からコンバージョンへの影響を可視化ーSUUMO(スーモ)の物件問い合わせ率上昇から

花木 誠 氏, 高山 由美, 富永 伸太郎, 池永 雅之 2018年12月 ビデオ, 不動産

不動産業界では 2020 年東京オリンピック関連の建築需要や、2019 年予定の消費税増税による購入駆け込み需要など活気があり、生活者たちのデジタルシフトに伴い大手各社による顧客獲得競争はオンライン上でも加速しています。


この記事でご紹介する不動産・住宅サイト SUUMO(スーモ)でも、以前から高い認知度を誇るブランドではありましたが、より彼らの事業にとってインパクトのある第一利用意向を高めることを目標に、動画広告を実施してきました。また、サイトからの問い合わせ(コンバージョン)増加を目的とした検索連動型広告やディスプレイ広告など、積極的なオンラインマーケティングを実施してきました。


そして次のチャレンジとなったのが、動画広告がコンバージョンにつながっていることの可視化です。動画によるブランディング施策が新たに SUUMO に関心のある顧客を生み出し、コンバージョンである「物件の問い合わせ」につながっていると考えていましたが、実際にどの程度影響があるのか?より正しい投資対効果の理解のため、その正確な検証と可視化の必要性を感じていました。


そこで SUUMO では、コンバージョンを意識した新たなクリエイティブ(詳細後述)で YouTube TrueView 広告を配信。Google マーケティング プラットフォームのアナリティクスとキャンペーン マネージャーの組み合わせで検索数の増加率を把握、また自然検索、広告経由でのコンバージョン率の増加率を組み合わせて検証しました。


これにより、オンライン動画広告がどの程度 SUUMO への興味・関心の上昇(「SUUMO」ブランドワードの検索数)を生み出し掲載物件への問い合わせに貢献しているのか可視化が可能になります。その結果、興味関心、問い合わせ(コンバージョン)率の両方について大きな効果をもたらしたことが確認できました。

施策において工夫した点

①まず、「どうやって伝えるのか」についてです。動画広告クリエイティブの方向性です。今回は「覚えている」という認知向上だけでなく、問い合わせにつながる「興味・関心」を持って貰う目的があるため、「○○で検索」など、検索行動を促すクリエイティブ、という方向性にしました。

「SUUMO」TrueView 広告:配信例

②もう 1 つの工夫は、「誰に伝えるのか」です。配信先を細かく設定できるオンライン動画広告の長所を活かして、 結婚、転職、引越しなど人生の転機でSUUMOのサービスに興味を可能性が高い潜在層に効率よく配信しました(オーディエンス ターゲティングのライフイベント)

効果を正確に測る、Google マーケティング プラットフォームのアナリティクスとキャンペーン マネージャーの組み合わせ

広告の効果を正確に分析するため、効果検証には Google マーケティング プラットフォームのアナリティクスとキャンペーン マネージャーを活用しました。広告を配信する片方のグループ(テストグループ)には今回の調査対象となる「SUUMO」TrueView 広告を、もう一方(コントロールグループ)には調査とは無関係な広告 (ダミー広告) を、配信。調査期間中の他の要素(他の広告媒体による影響など)による影響を排除し、広告接触・非接触者間の純増(広告があることによって発生する効果)を確認することで、可能な限り精緻な効果検証を行いました。(*1)また、今回テストとコントロールのグループはエリア別配信テストの仕組みを使い、配信先のユーザーの属性に偏りがない様工夫しました。

図:SUUMO が行ったブランド効果測定(A/Bテスト)

図:SUUMO が行ったブランド効果測定(A/Bテスト)

動画広告から、興味を持って検索した顧客が SUUMO のサイト経由で行った物件問い合わせを可視化

測定の結果、今回の「SUUMO」動画を見た人は、見ていない人と比べて「SUUMO」などのブランドキーワードの検索率は大幅に増加し、サイト訪問後の SUUMO 掲載物件への問い合わせ率についても、大幅に上昇。広告をクリックした上で問い合わせに至った『広告経由の問い合わせ率』は 409% の増加、広告のクリックの有無にかかわらず、自発的な検索を経た問い合わせである『自然検索経由の問い合わせ率』も 219% の増加という大きな成果が確認できました。

動画広告からコンバージョンへの影響を可視化ーSUUMO(スーモ)の物件問い合わせ率上昇から

純増に対する費用対効果を可視化

加えて、コントロールグループを作成して純増分を算出したことにより、1件の純増にかかった費用も可視化することができました。

今回の取り組みにより、動画広告で検索や問い合わせを促すための費用対効果が明確になったため、同社では今後この費用対効果を改善すべくさらに検証を行っていく予定です。

今後に向けて

「SUUMO ではこれまでのブランド施策によって、すでに高い認知を獲得できていました。しかしながら、ブランド施策の KPI は第一利用意向や第一想起などの定性調査から測るため、サイト上のコンバージョンとの直接的な繋がりが分かりづらく、『ブランド施策の投資対効果の可視化』という課題がありました。


その課題に対して、今回の Google マーケティング プラットフォームを使った動画アトリビューション分析は、ブランド施策の KPI がダイレクト施策の KPI ドライバーになりうるという、非常に示唆に富む結果になったと考えています。


マスプロモーションやオンラインチャネルの役割も短い周期で変わり続けているので、アトリビューション分析などで得られた示唆をもとに、ブランド施策とダイレクト施策の統合や投資対効果の可視化など、SUUMO では今後も先進的な取り組みを実施していければと考えています。」(株式会社リクルート ネットマーケティング推進室3部 ウェブマーケティング4グループ 花木誠氏)


今回の成果をうけ SUUMO では、今後次のような施策と検証を計画しています。

  • ディスプレイ広告でも同様の成果が見られるかの検証
  • 動画・ディスプレイともによりコンバージョンにつながるクリエイティブ要素の検証を深く分析して改善
  • 多様なサービスを提供するリクルートグループ内で連携をとりながら、ビジネス KPI を向上させる動画広告戦略を展開していく

昔は対面が基本だった不動産業界でも、オンラインの活用が大きな成果をあげつつあります。動画広告で態度変容だけでなく事業成果に直結するコンバージョンを生み出す、このような活用法が業界で広まりつつあります。

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