生活者の意図に寄り添う動画広告を目指して

岩田 幸也 2018年4月

従来のマーケティングでは、年齢や性別といった生活者のデモグラフィック情報をベースにメッセージを届けることが一般的な手法として知られています。しかし、現在はテクノロジーの進化により、これまで難しかった生活者の「意図(興味や関心ごと、何かをしたいという感情)」をもとにメッセージを届けるという新たなアプローチも可能になってきました。

例えば、ビデオゲームの購入者の「メイン層」といえば、おそらく若い男性が中心だと想定する人が多いでしょう。しかし実際は、モバイルでビデオゲームを探している若い男性(18 〜 34 歳男性)の割合は 31% と、全体の 3 分の 1 に満たないのです。*1 この場合、もしデモグラフィックを意識した広告配信設定だと、見込み顧客の 70% 近くにメッセージを届けることができず、大きなチャンスを逃してしまうことになります。

ユーザーの意図を YouTube 広告配信に活用

これまで YouTube 広告の配信は、YouTube での視聴やデモグラフィック情報などをベースに実施するというものでしたが、ユーザーがさまざまな意図を持って情報を探しているマイクロモーメントを捉え、より必要とされるメッセージを届けていく方向にシフトしています。今回は、ユーザーの「意図」に合わせて、YouTube 広告を展開した 日本国内の 3 つの事例をご紹介します。

●「卒業旅行に行きたい」という意図を捉え、売上拡大:日本旅行

人生の節目となるライフステージの変化やイベントにおいて、それまであまり意識しなかったことに興味を持ったり、購買行動が変わったりしたことはありませんか?そのようなモーメントはマーケティングチャンスが生まれやすいタイミングです。

日本旅行は、学生旅行のプロモーション時期に、若年層を対象に「日本旅行」の認知・検索行動を促し、購買につなげることを目的に、「学生」に着目しました。そこで、YouTube の新しい広告配信手法の 1 つであるライフイベントの「大学卒業」で、卒業旅行予約の潜在層で、かつ日本旅行ウェブサイトの未訪問者に対して、複数パターンのバンパー広告を配信しました。

その結果、動画に接触したユーザーは、動画非接触ユーザー ( コントロールグループ ) と比較してブランド名検索数が 529 % と大幅に上昇しました。また学生 ( 18 - 24 歳 ) における日本旅行ウェブサイト経由の売上が、前年同時期と比較して 180 % となり、効果的なキャンペーンとなりました。

同社はこれまで、若年層へのアプローチが課題でしたが、「 ライフイベント 」を活用することで、大学卒業間近という旅行検討の意向が高まる時期をうまく捉えて、「日本旅行」を認知してもらう機会を提供することができました。

【学生旅行@日本旅行】世界の言葉で言ってみた B
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 ●「転職をしたい」という意図に合わせて、会員数拡大に成功:DODA

有効求人倍率が上がり、売り手市場となっている転職市場では、優秀な人材の転職意欲を見逃さないことが鍵となります。そのためには、「転職したい」という意図が顕在化している転職活動中の人だけでなく、「転職したい」気持ちはあるものの、まだ活動そのものは開始していない潜在層に対する効率的なアプローチが求められていました。

そこでパーソル キャリアは、関連する商品やサービスを積極的に検索しているオンライン ユーザーがその後 7 日以内に YouTube に訪れた際、検索内容に基づいた関連性の高い動画広告の表示を可能にするカスタム インテント オーディエンスを活用。転職活動を始めようとしている生活者にも、動画でのメッセージ配信を開始しました。「漠然と検索をしているものの、具体的な転職活動はまだ進めていない」という潜在層にも、意図に合わせてアプローチするという戦略です。

DODA TVCM動画 「それぞれの転職 #002 清野菜名 篇」字幕ver.

通常のデモグラフィックによる広告配信と、上記のカスタム インテントのパフォーマンスを比較したところ、カスタム インテントがより有効であるという結果が得られました。

chart02_動画広告ターゲティングの新たな活用  - 生活者の意図に寄り添う

● 「映画を観たい」生活者にコミュニケーションし、無料トライアル会員を増加:Hulu

映画やドラマなどのオンラインビデオコンテンツを提供する Hulu では、有料会員獲得のための施策として無料トライアルキャンペーンをおこなっています。Hulu の課題は、映画、ドラマ、アニメなど多岐にわたるジャンルを提供しているために、どのコンテンツをどのような人に届けることが効果的なのかという見極めを行うことでした。

そこで同社が採用した選択肢の1つが、カスタム アフィニティ カテゴリでした。具体的には、「映画館に興味がありそうなユーザー」を設定し、そのようなユーザーは映画コンテンツとより親和性が高いであろうと判断し、「映画を含むコンテンツが見放題」を訴求した動画広告を届けたのです。ユーザーが好きそうな場所に合わせて、関連ある広告情報を届けていくことで、より価値ある情報提供につなげることができました。*2

通常のデモグラフィックによる広告配信とカスタム アフィニティ カテゴリ を比較したところ、より高いパフォーマンスを示したのはカスタム アフィニティでした。

chart03_動画広告ターゲティングの新たな活用  - 生活者の意図に寄り添う

映画館に興味があるユーザーと、今回の「映画を含むコンテンツが見放題」を訴求した動画広告キャンペーンの相性がよく、効率化に成功した事例となりました。

上記の 3 つの事例から分かるように、デモグラフィックだけでなく、一定期間において発生している「意図」に合わせて動画広告を活用していくことで、より効率的なマーケティング、ビジネスチャンス拡大の新たな一手となり、そして、顧客にとってもより価値ある情報に触れていくことができるようになるのです。

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