US 版 Think with Google が 2025 年 5 月に公開した記事を基に日本語に翻訳し、編集しました。
米イエローストーン国立公園への夏の旅行を計画する際には、間欠泉の活動を確認したり、ハイキングの計画を立てたり、ロッジを選んだりします。私は、Google 検索で「イエローストーンへの 3 日間の旅行プランを見せて」と尋ねたとき、ふと思いました。今ではどんなことでも、こうした自然な言葉で検索するのが普通になっています。しかし少し前までは、こうした質問の答えを得るには、クエリを複数の小さな質問に分ける必要がありました。AI の進歩によって、検索はより高性能で、より自然に、より直感的になっているのです。
私は Google で働く間に数々の技術変革を目の当たりにしてきましたが、中でも AI がもたらす Google 検索の進化は、最も刺激的です。なぜなら AI によって、Google の長年のビジョンである「検索を手軽にし、誰もがあらゆることを質問し、学び、発見できるようにする」ことが実現しているからです。
キーワードを慎重に選んで検索する時代は終わりました。今や、話しかけるような自然な言葉で検索し、画像やスマホの画面で見ているものを指で囲むだけで検索できます。Gemini モデルの推論能力を Google 検索に組み込んだことで、Google 検索は複雑で微妙なニュアンスの質問も理解し、Web 上でより多くを発見できるようになりました。Google 検索は、単なる情報提供を超えて知性を深める場へと進化し、あらゆる質問に答えられる存在になりつつあります。
Google 検索では、世界中で年間 5 兆回以上の検索が行われています(*1)。そして今なお、検索されるクエリ数は増え続けています(*2)。最も多く検索しているのは、どの世代だと思いますか? 答えは Z 世代です。18 歳から 24 歳のログインユーザーは、1 日あたりに他のどの年齢層よりも多くの検索をしています(*3)。Google 検索は巨大で、成長し続けており、若々しさを保っているのです。
AI は Google 検索の可能性を広げる
AI の進化によってGoogle 検索の可能性は大きく広がり、多くの人を引きつけています。たとえば 2025 年 1 月から 4 月までの「Google レンズ」での検索数は、前年同期比で 65% 増加。2025 年は、5 月時点ですでに 1,000 億回以上の画像検索が行われました(*4)。また、Google レンズ検索の、5 回に1 回は、買い物に関連した意図を持ったものです。(*5)。また「かこって検索」は、世界中の 2 億 5,000 万台以上の Android デバイスで利用できます(*5)。アプリを切り替えることなく、画面上の気になるものを指で囲むだけで検索できる機能で、かこって検索を使ったことのある若年層は、検索の 10% をこの機能から始めています(*5)。
さらに、「AI による概要」は、過去 10 年で最も成功した検索機能の 1 つです。2024 年にリリースしたばかりですが、すでに 200 以上の国と地域で、毎月 15 億人以上の人々が利用しています(*6)。Google 検索は、世界中のどのサービスよりも多くの人々に生成 AI を提供しているサービスになっているのです(*5)。
AI による概要を提供するようになり、非常に興味深いことが起こっています。検索結果に満足する人が増え、検索頻度も増えているのです。「長距離フライト中にスーツがしわにならないようにするには?」「フラットホワイトとカプチーノの違いは?」「大人が健康と幸福を最適に保つためには、何時間くらいの睡眠が必要か?」など、人々は新しいタイプの質問をするようになりました。米国やインドでは、AI による概要が表示されるような種類の検索が 10% 以上増加しています。特に興味深いのは、この増加が時間とともに加速している点です(*7)。
さらに深く知りたいという人のために、「AI モード」を開発しました。AI モードでは、あらゆる質問に対して AI による回答だけでなく、関連する Web サイトのリンクや AI が提案する追加の質問を通じて、さらに深く情報を探索できます。このモードは、より高度な推論やマルチモーダル機能を備えており、難解な質問にも対応できるよう設計しています。AI モードの初期テスト参加者は、従来の検索の 2 ~ 3 倍もの長さのクエリを入力しています(*8)。現在、米国でこの AI モードを段階的に提供し始めており、今後は AI モードの最先端機能の多くを、Google 検索の中核機能として組み込んでいく予定です。
Google 検索の新時代は、新たなビジネスチャンスに
人々がこうした新しい検索方法に反応し、受け入れていくのを見るのは大変うれしいことです。しかし、私たちの役割は、生活者が新たな情報を発見する手助けにとどまりません。検索の進化は、企業に新たなビジネス成長の機会をもたらします。検索方法が多様化することで、これまで以上に豊富なコンテキストとインテントのシグナルが得られるようになり、Google の AI モデルも、それらをより深く理解できるようになっています。「何を」だけでなく、「なぜ」を理解することで、人々が次に必要とすることを具体的に把握し、関連性の高い情報を提供できます。Google 検索は、好奇心を新たな発見へ、そして確かな選択へと導く存在になっているのです。
たとえば、誰かが「小型犬を飛行機に搭乗させる方法」と検索したとしましょう。Google 検索は、質問した人が本当に必要としている情報を理解するために、この検索の内容を複数の視点から解析します。その結果、まずは航空会社のポリシーや役立つヒントなどの、ストレートな回答を表示します。同時に、潜在的な購買ニーズも想定し、愛犬との旅行を検討しているユーザーに対して、機内持ち込みが可能なケージの広告を適切なタイミングで表示します。
AI による概要のページには、幅広い情報源へのリンクが表示されるようになり、コンテンツを発見する新たな機会が生まれます(*5)。AI による概要に表示されるリンクのクリックは、Web サイトにとって質の高いものとなり、人々が訪問した Web サイトで過ごす時間がより長くなる可能性が高まります(*9)。
広告の新たなタッチポイントが急速に拡大しています。現在、米国のデスクトップ版の Google 検索では、AI による概要内に広告を表示し始めており、一部の英語圏の国々では、モバイルでも展開を進めています。さらに、2025 年後半には、英語版 AI による概要に表示される広告を、モバイルとデスクトップの両方で、他の一部の国々にも拡大していく予定です。また現在、AI モードに表示される広告も試験的に導入しています。Google 検索がより便利になるにつれ、人々が新たな情報を求めたり、意思決定に前向きになっているタイミングと場所に、企業のビジネス情報が表示される機会が増えていきます。
発見され、次のステージへとパフォーマンスを引き上げる
では、Google 検索の最新機能を最大限に活用するには、どうすればよいのでしょうか。
Google 検索の新時代でビジネス成長を続けるには、AI を活用したキャンペーンが不可欠です。そこで、Google の最も高性能なソリューションを「Power Pack」にまとめました。このパックは、拡大する Google エコシステム全体でパフォーマンスを向上できるように設計されています。
米国における Power Pack は、次の 3 つのソリューションを組み合わせて活用することを指します。Performance Max(日本では「P-MAX キャンペーン」)、Demand Gen(日本では「デマンド ジェネレーション キャンペーン」)、最近提供を開始した(英語) AI Max for Search(日本では「検索キャンペーン向け AI 最大化設定」)です。これらがあらゆる局面をカバーしています。
なお、日本における Power Pack は「検索広告」「P-MAX キャンペーン」「デマンド ジェネレーション キャンペーン」の掛け合わせを指します。詳しくはこちらの記事で取り上げています。
AI 最大化設定を活用した検索キャンペーンは、広告を動的にカスタマイズし、最も関連性の高いランディングページに誘導します。検索するユーザーの意図を深く理解し、より関連のある広告を届けられるようになるのです。そのため、ユーザーが広告をクリックした際には、その広告が AI による概要や AI モードといった新しい検索機能にも自然に適応できるようになります。AI はすでに、検索キャンペーンで新たなレベルの成果をもたらしています。AI 最大化設定を検索キャンペーンに導入した企業は、主に完全一致キーワードやフレーズ一致キーワードを使った従来のキャンペーンと比較して、ほぼ同じ顧客獲得単価(CPA)または広告費用対効果(ROAS)で、コンバージョン数が 27% 増加しています(*10)。
私たちは、AI が Web 史上最も強力な発見エンジンになると信じています。AI は Google 検索を通して、生活者が求めるコンテンツ、クリエイター、企業とのより良いつながりの実現に貢献しています。私たちが目指すのは、どんなに複雑な質問にも答え、行動を後押しする検索です。加えて、AI によりさらに知性を持ち、エージェント型 AI 機能で個別のニーズに応えるパーソナライズされた体験を提供できるよう開発を進めています。Google 検索は企業にとって、生活者の好奇心を新たな発見と確かな選択へと結びつける強力な手段であり続けます。