国内における 18 歳以上の YouTube 月間ユーザー数は、2023 年 5 月時点で、7,120 万人を超えました(*1)。そのうち 2,680 万人以上が 45 歳から 64 歳のユーザーと、若年層に限らず幅広い世代で利用が進んでいることがわかります。
背景には、視聴デバイスや動画の尺、ジャンルなどが多様化し、ますます多くの人の生活に浸透していったことが挙げられます。また利用者数や利用シーンの拡大に伴い、企業からは広告効果への期待も高まっています。
2023 年 10 月 18 日、「広告効果で、選ぼう。」をテーマに、マーケターのための YouTube の祭典「Brandcast」を開催しました。今回は、イベントでの発表内容から、YouTube における最新の利用動向を紹介します。
増えるテレビ視聴、マルチデバイス化がますます進む
最近の YouTube の動向を説明する上でのキーワードが、視聴の「マルチ化」です。
視聴デバイスやフォーマット、動画の尺、ジャンルなど、YouTube の利用シーンは多岐にわたっています。
まずは、デバイスに着目してみましょう。
マルチデバイス化の顕著な例が、インターネットに接続した「コネクテッドテレビ(CTV)」での視聴の増加です。2023 年 6 月時点で、CTV での YouTube の月間ユーザー数は 3,800 万人を超えました(*2)。
CTV はまた、企業にとっての広告の配信面としても注目が高まり続けています。その理由として、利用が増加していることはもちろん、CTV での YouTube 広告(YouTube CTV 広告)の効果の高さが挙げられます。
地上波のテレビ CM と YouTube CTV 広告の検索リフトを比較検証したところ、1 インプレッションあたりの検索数の増分は、テレビ CM よりも平均 34% 高いという結果が出ています(*3)。
これには、CTV ならではの視聴態度が関係しています。たとえば以前の記事で取り上げた通り、CTV では「見て楽しむ」というテレビ視聴における従来の受動的なニーズに応えるだけでなく、「使って役立てる」という能動的な視聴態度が新しく生まれています。
「気になる情報を詳しく知りたい」「アクティビティのお手本が見たい」「思い出を振り返りたい」といった目的を持って能動的に視聴している人が多いため、同じく広告に対しても能動的に視聴するぶん、広告効果も高まっていると考えられるのです。
YouTube クリエイターたちも、大きく伸びている CTV 視聴を見据えてコンテンツを制作しています。
ビジネス映像メディア「PIVOT」を運営する PIVOT株式会社の代表取締役で、自身も司会者などとして動画に登場する佐々木紀彦氏は、次のように話します。
「テレビデバイスの大画面でも長時間楽しんでいただけるよう、海外へ撮影へ出向いてドキュメンタリーを撮影するなど、ハイクオリティな映像作りにもチャレンジしています」
ショート動画の視聴が拡大、動画の尺も多様に
デバイスに加えて、動画の尺やフォーマットも多様化しています。調査でも、YouTube は「幅広い形式のコンテンツ(短尺動画、長尺動画、ライブ配信など)にアクセスできるプラットフォーム」において、第 1 位を獲得しました(*4)。
かつては長尺の横型動画が主流でしたが、 2021 年に国内での YouTube ショートの提供を開始すると、短尺や縦型動画の視聴も増加しました。
2023 年 7 月の調査では、YouTube ショートの 1 日あたりの平均視聴回数は前年比 110% 以上の増加と大きく成長しています (*5)。
また、Z 世代(18 歳 〜 24 歳)のうち 70% は YouTube ショートを利用していると回答しており、特に若年層の利用が進んでいることがわかります (*6)。
短尺動画の特性に合わせたコンテンツ制作で人気を集めているのが、YouTube チャンネル「HIRO BEAUTY CHANNEL」を運営するヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロ氏です。
「ショート動画のニーズが高いことを受けて、通常の長尺コンテンツとは別に、60 秒で簡潔に楽しく伝えるビューティー情報やトレンドを押さえた動画を配信しています」(小田切氏)
コミュニティを守る責任と向き合う YouTube、フェイクニュース対策など推進
このように、YouTube がますます生活のあらゆるシーンで浸透する中で、Google としてはより安全、安心なコミュニティ運営を強化しています。
2023 年に特に注力したのがフェイクニュースや誤情報に対する対応です。
ニュース、政治、医療、科学情報など、情報の正確性が特に重要なトピックは、信頼できる情報源からの情報を、検索結果やおすすめの動画として優先的に表示するようにしました。
たとえば、大規模な災害や重要な政治的出来事など、重大なニュースがあった場合には、YouTube のトップページに、「ニュース速報セクション」を表示するようにしました。また、医療や健康に関する特定のトピックを検索すると、信頼できる情報源の動画を集めた「医療 / 健康情報セクション」を表示します。
また誤った情報の削除にも注力しています。新型コロナウィルス感染症に関する誤った治療法やデマなどを含んだ動画は、コミュニティガイドラインに基づいて、2020 年 2 月以降のおよそ 1 年半の間に全世界で 100 万本以上削除しました。
そのほか、フェイクニュース対策に関する取り組みも実施。ユーザーの皆さんが自ら情報を取捨選択し、誤情報に惑わされない力を身につけてもらうための活動も継続しています。
たとえば、2023 年 4 月に群馬で開催された「G7 デジタル・技術大臣会合」関連イベントの一環として、「フェイクニュースと日本 ―私たちにできること・社会としてできること」をテーマとしたイベントでは YouTube の取り組みを紹介しました。
より多様で、安全な YouTube へ向けて
YouTube での視聴は、デバイスやフォーマットが広がりを見せており、その結果としてユーザーの生活の隅々まで浸透しています。
これからもユーザーにとって使いやすく、広告主の皆さんに安心して出稿してもらえるように、コンテンツの多様性を大事にしながら、同時に安全性を強化していきたいと思います。
2023 年 10 月の Brandcast で発表した YouTube に関する最新のユーザー動向や事例は以下のページにまとめています。合わせてご確認ください。