デジタル化が進む不動産市場
モバイルデバイスが広く普及したことで、いつでもどこでも、必要な時に、欲する情報にアクセスできることが当たり前になりました。この傾向は不動産や住宅情報領域においても同様で、不動産に関連する検索量の総数はこの 2 年間で 23% 上昇 (*1) しています。
また、住宅購入者のインターネット利用率に関しては、新築・中古に関わらず 8 割 (*2) を超えています (下図参照)。
図 : インターネットによる不動産情報収集の経験の有無
東京建物の課題意識
分譲不動産の成約ポイントとして、モデルルームが圧倒的に多いことは容易に想定できます。一方で、現代の生活者の情報行動はデジタルへと移行しており、そこで得られるであろうデータをどのように活かして成約に結びつけるかが、不動産業界に共通する課題でした。
そこで、新築分譲マンション「Brillia(ブリリア)」ブランドを展開する東京建物は、これまで比較的手薄となっていた自社サイトへの見込顧客の誘導を強化し、そのデジタルデータを活用したマーケティングを展開していくことを目標に掲げたのです。
品川区の Brillia のマーケティング施策
まず見込み顧客のモデルルーム来訪を促す際に、チラシや不動産ポータルサイト経由だけではなく、自社サイト経由も増やすためのオンライン広告投資を強化しました。モデルルームに来場した顧客には、価格などの先行情報をお知らせする専用ページを案内することで、広告経由の自社ページへの来訪からモデルルームの来場、物件サイト専用画面へのアクセスを分析できる仕組みを構築しました。
図 : 取り組みの全体図
これら一連の取り組みにより、サイト流入経路全体の 7 割以上が広告経由で獲得することができました。また、販売対象であるファミリー層 (ライフステージ) や、不動産に関心の高い層 (アフィニティ)、また不動産物件の購買を検討している層 (インマーケット ) というように、効率的な広告投資を実施することができるようになったのです。
コミュニケーションの投資対効果を可視化し、改善する
自社サイト誘導効果を統計的にできる限り把握するため、「資料請求」「来場予約」「来場」の各事業指標で、通常キャンペーン時 (過去の実績や品川という地域性を考慮した予測値) と比較しながら、 今回のキャンペーン (実測値)の測定を試みました。
(それぞれの結果については下図参照)
図 : 東京建物が実施した効果測定
同時にグループ会社の協力によって、自社データを最大限活用し、同社は広告から最終契約までの投資効果を可視化することに成功しました。その結果、オンライン広告がもたらした純増効果として資料請求が +46%、来場予約が +129%、来場が +126%、仮契約を含む契約が +200% という好調な数字を記録することができました(下図)。
図 : オンライン広告がもたらした各事業指標への純増効果
ニーズを反映できる組織を構築し、よりよい商品提案へとつなげる
さらに、東京建物は、モデルルームサイトの利用状況を詳細に分析することで、人気の高い間取りやオプションといった見込み顧客のニーズを捉えることに成功しました。
現在同社では、この取り組みをすべての新築・物件に展開することを検討しています。さらに、物件を横断する形で専門部署を設置し、営業担当者を対象に、データ分析の結果をどのように営業活動に活用できるか勉強会を定期的に実施するようになりました。
個別の顧客ニーズをより深く把握することにより、的確な情報提供ができ、結果として顧客にとっても大きなメリットにつながります。東京建物にとって今回の取り組みは、今後のよりよい商品提案へ結びつくきっかけとなっています。