マーケティング活動において、どんなビジネスモデルでも、新規顧客獲得は事業を成長するために必須です。一方、生活者の側からすると、日常利用するメディアとしてインターネットの存在感が高まっており、インターネットで初めてサービスや商品を知ることも当たり前になってきています。
特に、今回ご紹介する LIFULL HOME'S (ライフルホームズ)で有名な株式会社 LIFULL が取り扱っている不動産サービスでは、検討期間が長いため、多くの顧客にとってインターネットでの情報収集はその検討過程で当たり前とも言えます。
今回は LIFULL が近年注力する注文住宅事業において、オンラインサイトで KPI としている資料請求の新規顧客数を 23 倍 (*1) に増加させた施策をご紹介します。
通常不動産業界では、サイト訪問者に再度広告を表示するリマーケティングと呼ばれる手法がまだまだ根強いですが、今回 LIFULL が活用したのは、Google の機械学習技術を使ったオンライン ディスプレイ広告商品である、スマートディスプレイ キャンペーンです。
スマートディスプレイ キャンペーンでは、Google の機械学習を活用することにより、ターゲット設定、入札、広告作成といった工数のかかる作業を過去に資料請求した(コンバージョンした)顧客の情報を元に類推することで、人力では不可能なレベルで高度な自動化を実現することが可能です。
これにより、LIFULL では過去の顧客に似た属性・行動情報を持つ新規顧客になる可能性が高いインターネット ユーザーに優先的にマーケティング投資を最適化することができました。
また、スマートディスプレイ キャンペーンでは、最適なユーザーを自動的に見つけられるだけでなく、最適なユーザーに最適なメッセージ(広告クリエイティブ)を、最適なタイミングで届けることが可能です。
LIFULL が活用した広告クリエイティブの例
市場(新設住宅着工件数)自体は近年減少傾向 (*2)でしたが、この施策によって、新規率 23 倍と大きく新規顧客を増加させることができました。また、他の指標についても下記の通り大幅に伸ばすことができました。
図:施策前後の成果
この背景には、同社のスマートディスプレイ キャンペーンや機械学習の特性を良く理解した下記の工夫がありました。
・スマートディスプレイ キャンペーンの目的を明確化(今回の場合は、新規顧客獲得)
・目標獲得単価をリマーケティング キャンペーンより少し高めに設定
-一度サイトを訪れた顧客に再び広告を配信するリマーケティングキャンペーンは短期的にはサイトを訪れたことのない見込み顧客にも配信されるスマートディスプレイ キャンペーンより獲得単価が安いことが多いため、ある程度新規顧客であることを加味し、SDC の目標獲得単価をリマーケティング キャンペーンに対して傾斜をつけました。これはリマーケティングと平行しているときは常に念頭に入れる必要があります。
-キャンペーン開始当初は機械学習がコンバージョンする確率の高いユーザー属性・行動情報を学習するために 2 週間程度待つ。高額商品は顧客検討期間が長いので、さらに 1 週間程度待つ。
-アカウント全体のコンバージョン数が一気に減らない様、徐々にリマーケティング キャンペーンの目標獲得単価を下げる形でスマートディスプレイ キャンペーンに切り替え
機械学習が学習できる情報量が多いので、最終的にはスマートディスプレイ キャンペーンに全面的に切り替えることが推奨ですが、いきなり切り替えるとコンバージョン数が激減するので、徐々にコンバージョンを SDC に移行させることで切り替える必要があります。
今回ディスプレイ広告で新規顧客の拡大に成功した LIFULL では、今後更に下記の施策を行う予定です。
1)ディスプレイ広告キャンペーンの予算見直し
2)更にサービス認知を拡大するため、動画広告の動画プラットフォームやディスプレイ広告での活用
3)ホームページの操作性を見直し、コンバージョン数を拡大