Google Pay は、簡単でスピーディな Google の支払いサービスです。様々な店舗で利用でき、交通機関や ウェブサイトなどでも利用できるようになっています。
2018 年 10 月には JR 東日本の Suica 対応を開始しました。 そこで Google コンシューマー アプリ マーケティングチームでは、Google Pay で Suica を利用してもらうことを目的にデジタル広告と交通広告を展開しました。そのキャンペーンの取り組みを見ていきましょう。
スマホアプリはユーザーに「利用」してもらうことをKPIに
スマートフォン アプリは一般的にウェブに比べて操作性が良いですが、提供する側にとっては、ユーザーにダウンロードしてもらうことがまず課題です。さらに、アプリ平均保持数 36 個の内 10 個は使われていないということも Google の調査で分かっており、ダウンロードしてもらった後、実際に利用してもらうことも大きな課題です(*1)。
さらに、オンラインで提供されるスマートフォン アプリの場合は、店頭販売されている商材などと比較して、マーケティングにおける認知からコンバージョンまでの間隔が大きく異なります。認知したその場でインストールし、利用開始することが可能だからです。
アプリのマーケティングにおいては、実際に利用してもらうなどのアプリ内行動に最適化した広告配信と、その効果測定が可能になっています。
そこで Google では今回のキャンペーンにおいて、KPI を認知やインストールではなく「Google Pay で Suica を利用すること(最初の Suica チャージ)」に設定しました。デジタル エージェンシーとしてグローバルに展開する Essence 社と協働しながら戦略を立案、実行しました。
スマートフォン アプリ利用増加に効く「アプリキャンペーン」の使い方
今回は、Suica というサービスの特性から、主要交通機関で交通広告を展開しましたが、それ以外は全てオンライン広告に集中したキャンペーンを実施しました。その理由は、
・訴求商材がスマートフォン アプリということ
・オンライン広告の利点である関連性の高いユーザー(キャッシュレス決済へ興味が高いユーザーなど)への効率的な広告投資が可能になること
・KPI においた「Google Pay で Suica の利用(最初のチャージ)」の正確な効果測定が可能になること
です。実施に当たっては、1)サービスの魅力を豊富な情報量で伝えることができる動画広告を活用しました。動画広告クリエイティブの制作では、あらかじめ調査などで確認したユーザーに効果的な便益である、「ユーザーがチャージ残高を気にしなくて良い」「改札であわてて Suica を探す必要がない」などがしっかり伝わる内容にしました。
オンライン動画広告のクリエイティブ例
そうして制作したモバイル ユーザーに効果的な長さ 6 秒から、サービスの魅力をしっかり伝える 30 秒の動画広告クリエイティブまで、YouTube(*2) を始め幅広いオンラインメディアを通じてサービス訴求しました。
もう 1 つ大きなオンライン広告施策として、2)KPI の「Google Pay で Suica の利用(最初のチャージ)」に最適化した広告(*3)を、機械学習によって関連性の高いユーザーにのみ各 Google サービス(*4)をまたいで広告配信可能になる、Google 広告のアプリ キャンペーン(*5)も実施しました。
アプリ キャンペーンで配信された広告クリエイティブ例
AB テストの結果に明確な差
キャンペーンの効果測定では、エリア別配信テスト(*6)と呼ばれる方法で、広告配信の有無以外の違いを極力排除して正確な広告配信の因果関係を検証しました。
結果、 広告キャンペーンによってもたらされた Google Pay の Suica 利用は+26% と、統計上有意差を確認でき、キャンペーンの効果を確認できました(目標のコンバージョン単価も達成)。
キャンペーンの効果
アプリの訴求を行う際には、アプリキャンペーンを利用することが一般的ですが、今回の取り組みを通じて動画広告でも、アプリのマーケティングに効果があることが確認できました。また、「実際の利用」という点で広告投資を評価することができたのも大きいと考えています。
適切なKPIを設定することで広告の投資効果をきちんと把握し、効果的なキャンペーンを実施できます。Googleでは今後もこうした施策を突き詰めていきます。