前回はモバイルに最適なユーザー体験を提供することに成功した企業をご紹介しましたが、今回はモバイルサイトを高速化するための最新ソリューション、AMP についてご紹介します。その中で、なぜスピードが重要か、なぜ Google が AMP に注力しているのか、既に日本で AMP を導入し、ビジネスの成功につなげている先進企業事例を見ていきましょう。
モバイルサイトを高速化するために最新のソリューションを活用する
ある調査によれば、生活者が朝起きてから夜寝るまで、1 日の間にスマートフォンをチェックする回数は 150 回 1 にも上るといいます。また 60% の人が、何かを調べようと思ったとき最初にモバイルを手にします。 2
一方、サイトの表示に 3 秒以上かかると 53% の訪問者が閲覧を断念し、また表示時間が 1 秒遅れると コンバージョン数が 7% 下がってしまうというデータもあります。
前回、プロジェクトチームを作って個別に施策を検証しながらサイトスピードを向上させた企業事例を紹介しました。Google では、さらなる高速化のために Accelerated Mobile Pages ( AMP ) というオープンソーステクノロジーをサポートしています。このような新しいテクノロジーを積極的に導入し、よりいっそう改善をすすめることで、結果に大きな違いを生み出すことができます。
なぜ Google が AMP に注力しているのか?
Google が開始した AMP プロジェクトは、オープンアーキテクチャとして、すべての人により速く優れたモバイルサイト体験を提供することを目指しています。動画、アニメーション、美しいグラフィック表現をそなえたウェブページが、関連性の高い広告とうまく共存し、スムーズに表示されることが重要だからです。
さらに、同一のコードを複数のプラットフォームやデバイスで用いることで、スマートフォン、タブレット、その他いずれのモバイル端末でも同じように、瞬時にコンテンツを表示させようと Google は考えています。
AMP とは?
AMP とは、静的なコンテンツを高速で表示することが可能なソリューションで、実装も容易です。オープンな技術のため、日本を含む世界中で多数の会社がすでに導入しており、 70 万ドメインで 6 億ページがインデックスされています。
AMP のメリット
- 商品リストページ、概要、イメージ、レビューの高速表示が可能
- 将来的にはチェックアウトやコンバージョンに至るまで一貫して対応する予定 サイト運営者が広告をマネタイズしやすい
- 表示速度が遅い、ページがモバイル非対応、コンテンツ表示の遅延によるレイアウト崩れ等の問題を解決
- AMP-HTML を導入することで、各所に分散したコンテンツ デリバリー ネットワークを利用して AMP キャッシュから表示を加速することが可能
- 中央値 1 秒以下で表示可能、速度は 4 倍に、データ量は 1/10 以下に
AMP のマーケティング効果
AMP を先駆けて導入した LINE 株式会社が企業向けに展開する LINE@ では、AMP を全面サポートすることにより、現在では 21 万店舗3 まで顧客ベースの拡大に成功しています。
また、株式会社サイバーエージェントが運営するアメーバブログ( アメブロ )サービスも AMP に対応しており、同社公式テクニカルクリエイターブログで「表示速度は一番のユーザー体験である」と述べるとおり、同サービスへのアクセス数増加が実現できました。
海外の事例では、オークションサイト eBay が 1500 万ページを AMP で試験開始し、対応ページを 1 秒以下で表示することを可能にしました。米国大手新聞社ワシントン・ポストでは、対応ページの起動時間を 8 倍高速化することができました。また Google では、検索からアクセスするページの中央値表示時間を、通常ページの 22 秒に対し AMP 導入ページでは 0.7 秒で実現 4しています。
上記の事例のとおり、多くの企業が AMP の導入によりモバイルに最適化したユーザー体験を創り出すことに成功しています。生活者に向けて、最適な情報を最適なタイミングで 「 届け 」 ることで、ビジネス機会を拡大することが可能になってきました。