世界中で多様なキャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、コンビニ払いなど)の利用が広がっています。日本でもクレジットカード業界の市場規模は年々拡大しており、クレジットカードショッピングの利用額は、2014 年から 2017 年にかけて 30% 以上増加(*1)。インターネットショッピングの決済方法をみても「クレジットカード払い」が 69.5%(2017 年度)と最も高く(*2) 、5 年前と比べると、その利用率は 32% 増加しています。そのオンラインとの親和性から、金融業界においてもオンラインマーケティングの重要性は年々高まっています。
今回ご紹介するイオンクレジットサービスでも、認知向上のための動画広告や、新規顧客獲得を目指した検索連動型広告などを以前から活用していましたが、中でも検索連動型広告では、常に増える検索語句の迅速な対応が鍵となる為、キーワードの追加や削除など定期的なメンテナンスは工数のかかる運用作業の一つでした。
そこでイオンクレジットサービスでは、工数をかけずにより多くの組み合わせ検索語句に広告を配信し効率的な新規獲得を目指すため、Google の機械学習ツールを活用したマーケティングソリューションを導入することにしました。
結果、広告クリック数は 131% 増加、ホームページ経由でのカード申込み数も 29% 増やすことができました。どんな施策が成功につながったのか?そのポイントをお伝えします。
具体的な施策と工夫したポイントとは
イオンクレジットサービスでは工数を減らすだけでなく、検索連動型広告経由の新規獲得率を高めることを目的に、スマート自動入札(機械学習を使用して個々のオークションのコンバージョン数やコンバージョン値を最適化する自動入札機能)、データドリブン アトリビューション(目標 KPI にどの広告、どの検索語句、どのキャンペーンが最も貢献したのか、コンバージョンに至った貢献度に応じて予算を自動配分することが可能なアトリビューション ソリューション)に加え、今回動的検索広告を導入しました。
実は金融業界では、動的検索広告の導入に慎重な傾向があります。その理由は厳格な広告運用です。動的検索広告では、広告のリンク先となるウェブページのコンテンツを元に広告見出しが自動で設定されます。しかし金融業界では、業界の性質上、出稿される広告見出しについて他の業界よりも特に慎重な確認が必要となります。
そこでイオンクレジットサービスでは、機械学習が生成する広告見出しの「元になる情報」を厳選しました。こうすることで、適正広告としての基準を担保したまま、工数を削減しながらより多くの検索語句に広告配信できるようにしたのです。
施策のポイント
- 動的検索広告の広告見出しの生成の一番大きな要素はページタイトルの情報のため、ホームページの中で規制上問題のないページ、そして特に広告を表示したいページに厳選
- さらに除外検索語句を設定し、基準外の広告が出稿される可能性を完全に排除
広告クリック数は 131% 増加、ホームページ経由でのカード申込み数も 29% 増加
初期のテスト導入も含めて、成果を確認しながら少しずつ動的検索広告の導入を実施しました。そうした結果、最終的に表示検索語句数 32% 拡大、広告クリック数 131% 増加、そして KPI となるホームページ経由でのカード申込数は、29% 増加という目覚ましい成果を上げることができました。
機械学習を使った自動化により、人的工数を削減しながらより多くの検索語句に広告配信できるようになっただけでなく、機械だからこそできるリアルタイムな効果分析および適切な対策の実施によって、コンバージョンの増加に成功しました。
今後に向けて
イオンクレジットサービスでは今後、次のような施策を計画しています。
- 動的検索広告に併せてブランド関連検索語句(クレジットカードブランド名)に絞った広告配信だけではなく、キーワードでも一般キーワード(クレジットカードブランド名よりもう少し一般的なクレジットカード関連キーワード)を追加し検討段階のユーザーのリーチを拡大
- 動的検索広告で見つかった効果的な検索語句にあわせて広告文を細かく修正
広告を配信するときには、業界ごとにさまざまな規制や、特徴的傾向があると思います。今回の事例のように、機械学習ツールを組み合わせたり使い方の工夫をおこなうことで、求める成果に近づけていくことが可能になってきています。