阪急交通社が優良顧客に注目した背景
訪日外国人旅行に注目が集まる中、日本人の国内旅行市場はすでに成熟期です(観光庁による調査では、平成 30 年の外国人延べ宿泊者数は8,859万人泊(前年比+11.2%)に対し、日本人延べ宿泊者数は4億2,043万人泊(前年比-2.2%)*1。
こうした成熟した市場ですが、規模が大きい市場のため阪急交通社では既存の優良顧客に優先的にコミュニケーション リソースを配分することで、マーケティング投資効率の最大化を目指しています。
具体的には、広告会社と共同で下記の施策を実施しました。
- 既存優良顧客の見極め
- 優良顧客への優先的広告配信
- 効果測定
それぞれの詳細をご紹介します。
既存優良顧客の見極め
まず、阪急交通社では過去の一定期間に渡る既存顧客の旅行商品購入データ、広告配信データをクラウド上( Google Cloud Platform BigQuery ) に集約しました。次に、機械学習技術を活用し、既存顧客において優良度合いを元に 5 つのグループに分類(1 が最も優良度が高い)しました。
優良顧客への優先的広告配信
次に、阪急交通社は先の手順で明確になった最優良顧客グループ(グループ 1)に対して、Google アナリティクスと Google 広告を連携させることで、優先的にオンラインディスプレイ広告配信を実施しました。また、阪急交通社では施策の効果測定のため、最も優良度の低いグループ(グループ 5 )にも敢えて同様の広告を配信しました。
効果測定
効果測定では、最優良顧客グループ(グループ 1)と最も優良度の低いグループ(グループ 5)の広告費用対効果を二ヶ月間にわたり比較しました。配信先の顧客グループ以外の条件をすべて同一にすることにより、正確な効果測定が行えました。
結果、最優良顧客グループでは、最も優良度の低いグループに比べて広告費用対効果が20倍も高いという結果が確認できました(下図参照)。
図:グループごとの広告費用対効果比較
今後の展望 - 今回のキャンペーンのご担当者
阪急交通社 ご担当者より
「今回の成功を受けて、更に施策を発展させるためのプランを検討しています。例えば、新規顧客の開拓にも、既存優良顧客に似たユーザー属性群に広告を配信する事や、今回はオンライン ディスプレイ広告のみでの実施でしたが、今後は検索、動画広告やメール配信などにも幅広く実施することなどを視野にいれています。」
広告会社 ご担当者より
「本プロダクトの導入により実データに基づく優良顧客セグメントへのアプローチが可能となり、これまで課題としていた、申込人数の拡大だけではなく、生涯顧客価値を意識したプロモーション設計に取り組む土台ができました。また、一パートナーとしては、データの統合が進んだことでオフラインを含めたデータ分析が可能となり、阪急交通社様のビジネスモデルを中長期的に最適化・最大化するためのお取り組みとして、多角的な方面からのご提案ができるようになりました。今後も分析、改善施策のご提案を行ってまいります。」