オンライン旅行サービス市場は拡大しています。政府の調査(*1)によると、2017 年のオンライン旅行サービスの市場規模は前年比 11%の約 3.4 兆円に達し、EC 市場のサービス系分野全体においても 6 割を占める規模にまで成長しました。
また、別の調査では 6 割の日本人がインターネットで宿泊施設を予約した経験があると回答しています(*2)。一方で、業界内では多種多様な旅行サービスが生まれており、適切な情報収集ができないと感じる人も増えています。実際に、インターネットで宿泊施設を予約した事のある人のうち、およそ 2 人に 1 人( 45% )が、「これまでにオンラインで宿泊施設を探すのに疲れて途中で諦めた(すぐに予約できなかった)ことがある」と回答しています。
宿泊施設や宿泊予約サイトは、このような機会損失を減らして確実に予約につなげていく必要があります。こうした課題を解決し、ホテル広告の予約流通総額を 2.4 倍まで拡大した楽天トラベルの施策と成功のポイントをご紹介します。
楽天トラベルが活用したホテル広告
ホテル広告は、Google 検索で宿泊施設の検索をしているユーザーに、関連する宿泊施設の空室状況と料金を表示する広告サービス(*3)です。従来は、Google 検索をした後に個別の宿泊予約サイトにアクセスして空き状況や価格を確認する必要がありましたが、そうした手間を一気に解消することができます。
ホテル広告の掲載イメージ
楽天トラベルは以前からこのホテル広告を利用しており、手動で入札調整などの最適化を行っていました。しかし、一泊当たり数千円から数万円にわたる入札単価を複数の施設の宿泊プランごとに手作業で設定するために、膨大な工数がかかっていました。
この手作業による工数を減らして効率的に最適化を進めるために、同社では、宿泊施設予約数を最大化する自動入札機能「 CPA 入札(*4)」(説明英語)の導入を決めました。CPA入札の導入によって、より多くの宿泊プランを掲載して販売できるようにするとともに、独自のロジックを使って CPC 手動入札で管理をする必要がある施設を明確にし、効率的な運用を可能にしました。さらに今後は、予約に至った顧客のデータを機械学習しながら、各施設の予約数を最大化できるようになる予定です。
成果
CPA 入札の導入前後でホテル広告の予約流通総額は 2.4 倍になり、そのうち新規顧客からの流通額(新規と過去 1 年間購入がなかった人の流通総額)は 2.6 倍に達しました(下図参照)。
導入前後( 2018 年 6 月と 10 月の比較)
競争が激しいオンライン旅行業界で、これまでの数倍の新規顧客を獲得できたことは大きな成果です。また、季節要因が大きく作用する旅行業界において、繁忙期の入り口にあたる 6 月を上回る予約流通総額を 10 月に達成できたことも大きな成果です。
今後の展開
「当社では、競争の激しいオンライン旅行業界で効率的に利益を最大化するために、さまざまなオンライン広告施策に積極的に挑戦しています。今回の施策で特に良かったのは、自動化を導入したことによる運用効果の改善だけでなく、新しい顧客の獲得にも成功したことです。今後も常に新しいことにチャレンジしながら、最先端のマーケティングを実行していきたいと思います。」
楽天株式会社 コマースカンパニー トラベル事業 編成・マーケティング部 メディアマーケティンググループ ヴァイスジェネラルマネージャー 藤巻勇飛氏