2019 年、Google では、日本におけるこれまでの購買プロセスのセオリーが通用しない、瞬間的に購買行動が起こる状況を「パルス消費」と名付けました。その後「情報探索そのものを整理することはできないのか?」という疑問を受けて、再度調査を実施したところ、「一見すると無作為に見える購買に至る情報探索や検索行動のプロセスにも、ある一定の法則がある」ということが分かったのです。その法則を私たちは「バタフライ・ サーキット」と名付けました。
このバタフライ・サーキット、実は最近のデジタルマーケティングを考える上で重要な示唆を含んでいます。Think with Google の読者にも改めて紹介したいと考え、一連の記事をピックアップしてみました。
その1:従来の購買行動はもう当てはまらない、情報探索行動を分析してわかったこと
気になったモノやサービスはその場でスマホで調べて、すぐに購入する──。そんなお買い物の仕方をしたことがある人も多いはず。買う前に検索、という情報探索行動はすっかり市民権を得ています。ただ、人の情報探索行動は、その商材がなんであろうと、まったくもって一本道ではないということが分かってきました。当たり前のことですが、実はこれが大きな発見だったのです。
左:従来の消費行動モデル、右:パルス型消費行動モデル
その2:ギリシャ? バリ? はたまたハワイ? 新婚旅行の検索行動から見えた情報探索行動のリアル
情報探索行動は、現れたり消えたり、期間を空けて思い出したようにまた現れたり、また「このタイミングでなんでまたそれを調べるの?」「結局、何も考慮していなかったそれを買っちゃうの?」など、マーケター側からするといわば“ちゃぶ台返し”のような行動が多発していることがわかってきたのです。とある人の「新婚旅行」に関連した検索を分析したところ……。
その3:「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか
「へー」「ふむふむ」「そんな感じか」「うしし」「なるほどね」「はいはい」「やっぱりか」「ですよね」──。人々の情報探索をかき立てる 8 つのモチベーションは、大きく 2 種類に分類できます。「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんなの教えて」「ニンマリさせて」の 4 つは、人々が選択肢を探ろうとしているモード。「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」の 4 つは、選択肢を固めようとしているモードと言えます。
その4:「全方位」「主観」「慎重」「真面目」「瞬発」 5 つに分類できる探索行動パターン
実はバタフライ・サーキット上にあるそれらの情報探索行動は、業種や消費者の性格、今置かれている環境などによってさまざまです。これらを「全方位」「主観」「慎重」「真面目」「瞬発」の5つで分類して情報探索のパターンを分類してみました。
その5:観察してわかった 5 つの特徴、消費者も気づかない「実はだいじ」が大事
「バタフライ・サーキットは並行して複数のカテゴリーで起こる」「ある商品やサービスのバタフライ・サーキットが完了しようとするとき、それに関連した別のバタフライ・サーキットがはじまる」「バタフライ・サーキットは、消費者がその商品やサービスに対してどのような感情をもっているかによって違う」などなど、バタフライ・サーキットにまつわる5つの特徴が今後のデジタルマーケティングをどのように変えていくか、考察を交えて解説します。
まとめ
デジタルマーケティングに大きなインパクトを与えるであろう、バタフライ・サーキット。皆さんにもご理解いただけましたでしょうか? スマートフォンが日常になった現代では、商品の名前をイチイチ覚えません。知らなかった商品は、その場で調べればいいのですから。従ってこれまでの直線型マーケティングでは、多様な生活者の行動は捉えることはますます難しくなっていくでしょう。こうした時代にバタフライ・サーキットがデジタルマーケティングの指針になって、皆さんのお役に立てればと思います。
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