2022 年に US 版 Think with Googleで、読者のエンゲージメント率(*1)が高かった記事 5 本の概要を日本語で紹介します。全文(英語)は各リンク先からご覧ください。
ここ数年の変化を踏まえた、生活者動向に対応するためのマーケティング戦略をはじめ、さまざまなシーンでの YouTube の活用法、プライバシーに配慮した効果測定など、多様な記事が読まれていました。日本でのマーケティングにもきっとヒントになるはずです。
激動の状況下、銀行や FinTech 顧客のニーズはどこにあるのか
英語版の元記事:Meet banking and fintech customers where they are in today’s shifting landscape
コロナ禍で、銀行や FinTech サービスに対する米国の人々の向き合い方はどう変わったのでしょうか。調査会社の Known と実施した調査結果をもとに分析しました。
2020 年 2 月と 2021 年 9 月の調査によると、その間の約 1 年半で、多くの人が、お金を管理することの重要性を強く感じるようになっています。感染拡大によって、私生活や仕事環境が変わったことをきっかけに、自分の生活の財政面についてより考えるようになったようです。
(*2)
このように財政面について考えるようになった人々は、金融サービスを追加したり、切り替えたりするなど、新しいサービスを受け入れやすくなっています。しかしこの裏側には、積極的に新しい選択肢を探し求めている成長モード(Growth mode)と、反対に、厳しい状況に対応するために優先順位を考えている危機モード(Crisis mode)の 2 種類のマインドセットが見られました。
こうした利用者動向の変化に対応するために、金融業者は、より革新的で人々の生活を楽にするためのサービスを開発するとともに、充実したサポートを提供することが求められています。
YouTube 広告で複雑な製品を宣伝するには? とある企業事例から考える
英語版の元記事:How to promote a complex product on YouTube: Inside one company’s winning strategy
著者:エリザベータ・オレホフスカヤ(Video Advertising Manager at Semrush)、アルテム・リジェンコフ(Video Advertising Manager at Semrush)
Semrush は、SEO や広告分析などに対応した、オールインワンの競合分析ツールを提供しています。デジタル広告を運用している企業向けの複雑かつニッチな商品ですが、同社は YouTube 広告を活用したマーケティング戦略で、予算を増やすことなしでコンバージョン増に成功しました。
同社はまず、YouTube 広告を配信するにあたって、手動で設定を調整。複数の動画ごとにインプレッションやビュー、クリックなどの単価を分析し、それをもとに、獲得単価(CPA)やコンバージョン率(CVR)などの指標でキャンペーンを自動化しました。
また YouTube 広告の視聴ベースのアトリビューションを追加し、考えられるあらゆるオーディエンス タイプや広告フォーマット、入札戦略をテストしました。
その後、広告クリエイティブとランディングページの最適化に着手。動画の長さやコンテンツの種類によって CVR が変わることがわかったため、その結果を基に、広告クリエイティブとランディングページを改善し、視聴者の購入検討段階に応じて動画クリエイティブを最適化しました。
ブランドリフト調査では、米国での Semrush への関心が平均 72.6% 増加するなど、目覚ましい結果を確認できました。
カスタマージャーニーのあらゆる段階で顧客にアプローチ
英語版の元記事:How brands like Aveda and Kraft Heinz are unlocking the value of full-funnel marketing
著者:ライアン・オロハン(Managing Director, Food, Beverage, and Restaurants Google)
顧客はオンラインとオフラインをシームレスに行き来しており、マーケティングにおいては商品検討から購入までのあらゆるステップにおいて効果的にアプローチすることが重要になっています。
2018 年から 2020 年に Google が調査会社 Nielsen に委託して、消費財ブランドを対象に米国で実施した調査によると、検討から購入までのカスタマージャーニー全体に向けたマーケティング戦略は、特定の段階のみに集中したマーケティング戦略と比べて、投資利益率(ROI)が最大 45% 増加し、店舗での売り上げが 7% 増加するという結果でした(*3)。
こうしたカスタマージャーニー全体に向けた戦略で成果を上げた企業の 1 つが、Estée Lauder Companies です。
同社のボディケアブランド「Aveda」は、コロナ禍で美容トリートメントの人気が高まった中でも、新規顧客の獲得や売り上げが期待するほど伸ばせていないことに課題を感じていました。
そこで 2021 年の第 3 四半期から、興味関心や購入意向がある顧客だけでなく、検討のより初期にいる顧客も含めて、カスタマージャーニー全体に向けた YouTube 広告の戦略をとりました。
Google のデータとファーストパーティデータを組み合わせてペルソナを作成し、クリエイティブとオーディエンスを適切に組み合わせた結果、Web サイトのセッション数、検索インプレッション数とも 2 ケタ増。北米での売上は大幅に増加し、新規顧客の獲得目標も上回りました。
記事では、同様の戦略で成果を上げた The Kraft Heinz Company の事例も取り上げています。
YouTube で変わるスポーツ観戦のあり方
英語版の元記事:The way we watch sports is changing. Here’s what that means for the future of content
著者:サディ・トーマ(Director, U.S. Creative Works Google)
米国でのスポーツ中継のデジタル視聴者数は、2021 年に 5,750 万人に達し、2025 年には 9,000 万人を超えると予想されています(*4)。
こうした中で、多くのアスリートたちが、YouTube クリエイターとして、 フィールドの内外の舞台裏をファンに紹介するようになっています。元アメリカンフットボール選手のロブ・グロンコウスキー氏の YouTube チャンネルは、開始から 2 年足らずで、800 万回再生を超えました。
またスポーツ観戦のスタイルも変化しています。家のリビングや寮の部屋のテレビで、スポーツを観戦する文化は変わっていませんが、コネクテッドテレビで、YouTube を通じて一緒に視聴する人(共視聴)が増えているのです。Talk Shoppe の調査によると、視聴者のおよそ 8 割が、他の人と一緒に YouTube を視聴したときに、より深いつながりを実感しています(*5)。
その結果、スポーツ観戦中に配信する YouTube 広告の効果も高まっています。たとえば、2021 年のスーパーボウル期間中に配信された税申告ソフト「Intuit TurboTax」の YouTube 広告は、コネクテッドテレビを戦略に入れることで試合中に最も視聴された金融サービス広告になり、スーパーボウル後に加入者が 10% 増加しました。
サードパーティ Cookie を使わない未来へ、Google メディアチームの取り組み
英語版の元記事:Inside the Google media team’s cookieless measurement tool kit
著者:ボブ・アーノルド(Global Group Media Innovation Manager Google Media Lab)、トミー・ワイルズ(Global Senior Analytics Manager Google)
インターネットユーザーのプライバシーへの配慮が求められる中、Cookie に依存しないマーケティングの効果測定が求められています。この記事では、 Google 米国のメディアチームによる、新たな効果測定に向けた取り組みを紹介しています。
まず、経営陣の理解とサポートを得るために、CMO、CFO と定期的なミーティングを行いました。メディアチームでの効果測定の結果と、それをどのように意思決定や投資に活かしていくかについて話し合ったのです。
こうした議論を踏まえて、Google では、広告の純増効果である「インクリメンタリティ」のテストを重要な投資分野として位置付けています。マーケティングがどの程度ビジネス成長に寄与するかを示す指標だからです。インクリメンタリティの検証をできる限り効率的にするために、プロセスを検討してきました。
プライバシーに配慮した効果測定がさらに重要になっていく中で、プライバシーとインサイトの生成・マーケティング最適化を両立させた「Google アナリティクス 4」 も、今後のマーケティングの基盤になると確信しています。ディスプレイ&ビデオ 360 や Google 広告などのプラットフォームとの統合により、測定の精度を維持できるよう設計しています。
以上、2022 年に US 版 Think with Google でよく読まれた記事 5 選でした。
Think with Google は、マーケティング業界に携わる人々に向けて、世界 20 カ国以上で展開している Google のオウンドメディアです。本記事は US 版の記事を取り上げましたが、日本でも、調査に基づいた最新の生活者インサイトや、デジタルマーケティングの事例、動向などを紹介しています。
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