生活者の嗜好の多様化しており、実際にGoogle 検索では、毎日 5 億種類の新しいキーワードの組み合わせが検索されています。(*1)
また、家電領域は特にオンラインとの親和性が高い領域で、オンライン経由での家電商品の販売は拡大しています。実際に、経済産業省の実施した調査によると、一般消費者向け物販系分野の中でも、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器」などのいわゆる白物家電、黒物家電と呼ばれる分野のEC化比率は既に30%を超えており、市場規模は年率10% 近い勢いで拡大しています (*2/3)。さらに、Google 検索でも家電分野キーワードの検索数が、2016 年 7 月から 2018年 7 月時点を比較すると、約 2 倍に増加しています。
こうした市場拡大の中、株式会社カカクコムの運営する購買支援サイト価格.com でも、ショップへの誘導(コンバージョン)を増加すべく新たな施策を行った過程と結果をご紹介します。
多くのウェブメディアを運営している同社では、マーケティングでも数値による検証を事前にしっかり行った上で実行に移しています。今回も、有力な顧客獲得手段である検索広告について、広告クリエイティブの種類を増やすことでショップ誘導件数を増加させることができるのではないかという仮説を検証すべく、精緻な検証を行いました。
具体的には、テストを実施することで、キャンペーンに変更を適用する前に掲載結果を測定し、変更することでどのような影響が生じるかを把握できるよう、キャンペーンの下書きとテストを活用しました。これにより、確信をもって施策を実行することができました。
キャンペーンの下書きとテストでは、カメラカテゴリーに関して下記の検証を行いました(下図参照)。
・検証対象の顧客を ① 2 種類以下の広告クリエイティブしか配信しないグループ(コントロールグループ、元々のキャンペーン)と② 5 種類の広告クリエイティブを配信するグループ(テストグループ、効果があるか検証したいキャンペーン)に分ける
・① と ②でのショップ誘導数の増加の差分(アップリフト)のみを確認(調査期間中の他の要素(他の広告媒体による影響など)による影響を排除するため)
・差分が統計的に有意と言える差(たまたま起こった誤差の範囲ではない)であることを確認した上で、実行に移すべき施策かどうか判断する
結果として、上述の ① と ② のグループを比較した際に、誘導一件当たりの単価の減少が ① と ② で 16% もあり、且つ誘導数の増加率の差分が 8% もあった(両方とも統計的有意差あり*4)ため、行う価値のある施策とデータに基づいて判断ができました(下図参照)。
同社では、Google の日本チームが生み出したワードミックスモデル(Words Mix Modeling 、WMM)も導入し、多様化する顧客ニーズを機械学習技術でとらえ、さらなるショップ誘導件数の増加につなげています。
今回のキャンペーンを担当したカカクコム マーケティング本部の齊藤氏より
本検証以前は、成果の良い広告クリエイティブに厳選した広告運用を行っていましたが、「特定の広告クリエイティブだけで本当に問題ないのか?」という懸念点があったため、「顧客それぞれの状態に沿った広告を届けることができないか?」を実現することを狙い、今回の検証実施に至りました。
「キャンペーンの下書きとテスト」を利用したことで、統計的に有意な検証が実施できており、その結果としてコンバージョン数の純増が確認できたため、従来の成果の良いクリエイティブと共に、新たな広告クリエイティブを入れる価値が実証できたと考えております。
この結果を踏まえて、
・キーワードと広告クリエイティブの組み合わせを捉えて、サイトコンテンツ制作の参考にする
・今回実施したカメラカテゴリー以外のカテゴリーへ複数本の広告クリエイティブを追加
・弊社の他サービスへ今回の知見を共有&同施策の実施促進
を検討しています。また、将来的には潜在的なユーザーが価格.comファンになってもらえるようなKPI 設計や広告文の開発なども視野に入れてマーケティングを行っていきたいと考えています。