日本人の生活に浸透するスマートフォン アプリ
もはやスマートフォンは日本人の生活に欠かせないものとなりました。事実、ある調査によれば、日本人の 1 人あたり 1 日のスマートフォンの利用時間は 3 時間を超えたということです。(*1)
内訳としては、ブラウザ (Web) での閲覧がほぼ横ばいなのに対し、アプリの利用時間が増加しており、85% となる 2 時間 41 分を占めています。(*2)
最も長い時間を占めているのはゲームや SNS ですが、ニュース等の情報もアプリでチェックするというスタイルが浸透しています。スマートフォンのデスクトップ画面にあるアプリをタップするだけで情報が得られる利便性は、習慣化しやすいためと考えられます。
メディア事業に注力するグリーとその戦略的課題
こうした人々の変化を受けて、これまで日本のモバイル インターネット サービスを牽引してきたグリーは、ゲーム事業、ライブエンターテインメント事業、広告事業、投資事業に加え、現在メディア事業に注力しています。
グリーが運営するメディアの 1 つ「LIMIA」は、リフォーム、リノベーション、DIY、インテリア、雑貨、フード・レシピなど、住まい・暮らしに関する情報を集約して発信しています。広告を主な収益源とするビジネスモデルであることから、アクセス数を増やすことが非常に重要になってきます。
なかでも、LIMIA のような情報メディアにおいては、毎日習慣的にアプリを使ってくれる良質なユーザーをいかに効率的に獲得するかがマーケティング戦略上最も重要な課題の 1 つです。
毎日使ってくれる可能性の高いユーザーに向け、優先的に広告配信
機械学習技術の進化により、ユーザーの興味・関心などの情報をもとに、毎日アプリを使ってくれる可能性が高いオンライン ユーザーに対して優先的に広告配信することが可能になりました。LIMIA も、この技術を採用したアプリ キャンペーンを活用しています。さらに、アプリをインストールした当日だけではなく、翌日の利用状況など習慣化に関連する指標をマーケティング KPI の 1 つとして採用。その KPI を効率よく達成することを目指しています。
アプリキャンペーンの成果向上のため、Google の Firebase ソリューションを採用
今回 LIMIA では、より多くのデータを元にアプリ キャンペーンの効果を上げることを目的に、Google が提供している Firebase(*3) というアプリ開発で使用できるサービスの活用を決定しました。Firebase の一部として提供されている機能のひとつ、Firebase 向け Google アナリティクスは、詳細な個別のアプリ内イベント (例: 匿名化された個別のアプリユーザーの利用状況など) を自由にカスタマイズして確認できる無料のアプリ測定ソリューションです。
図: Google が提供するアプリ キャンペーンの成果を向上させる Firebase ソリューション
このFirebase 向け Google アナリティクスを活用することで、Googleのアプリ キャンペーンが学習できるデータ量を増加させ、さらに精度の高い広告配信が可能になります (下図参照)。
図: Firebase 向け Google アナリティクスがもたらす成果向上 (概念)
LIMIA では、Firebase 向け Google アナリティクスを活用したことにより、KPI の 1 つである「翌日起動してもらうために必要な費用」を、活用前と比較して 71% まで削減することに成功しました。(*4)
図: LIMIA が実現した翌日起動単価の改善
今回マーケティング施策を担当した LIMIA の相馬氏は、キャンペーンを振り返ってこう語ります。
今まで Google のアプリキャンペーンでは、インストールのみに最適化をかけていたため、その後の継続状況に課題を抱えておりました。今回、Firebase SDK を使用して翌日継続に最適化をかけた結果、翌日継続単価が想定よりも大幅に改善することができて驚いています。
Firebase を使うには Firebase SDK を導入する必要があり、SDKと聞くと導入が大変そうですが、実は今回Googleのエンジニアのサポートは一切なく、全て自社で施策を行うことができました。Firebase 上で翌日起動単価を測定するイベントの設定は、たった 2 営業日でした。アプリキャンペーンも Firebase も Google が提供しているサービスなので、連携を念頭に設計されていることを強く実感しました。
今回は iOS アプリでの結果ですが、今後は Android も含めて更に改善していければと思っています。
写真右から順番に相馬 弘太郎 氏、井上 華 氏、和田 怜 氏