生活者のデジタルシフトに伴い、オンライン経由での販売は拡大しています。実際に、経済産業省の実施した調査によると、一般消費者向け物販系分野の E コマースサイトの取扱高は 9 兆円に迫る勢いで、年率 7.5% で成長しています1。
KDDI グループで運営している総合通販サイトの Wowma!(ワウマ)でも、売上拡大のために、同社が既に大きな売上を上げているレディース・ファッションカテゴリ以外のカテゴリでの販売での新規顧客からの購入を効率的に増加できる施策を検討していました。今回は、そんな Wowma! が機械学習を活用したマーケティングを実施し、顧客獲得単価を維持しながら、新規顧客からの購入数 +16% 増加とその目的を達成した取り組みをご紹介します。
同社では、これまでも商品名などを検索した人にその商品の画像、価格などを表示するショッピング広告を活用して売上を拡大していました。そこで、さらに効率よく売上を拡大できるよう、機械学習を活用した検索広告からの新規顧客からの購入拡大に挑戦しました。
具体的には、①データドリブン アトリビューションという新たな広告投資の評価方法の導入により、機械学習が過去に同サイトから購入までに至った顧客の購入過程における各接点の貢献度を分析。その分析結果に応じて、購入につながりやすい経路を割り出し、価値の高いクリックにより多くの貢献度を割り当てます。さらに、後述の自動入札と併用することでこのデータを元にした投資の最適化が行われます。
次に、②「目標広告費用対効果」に基づく入札設定を使うことで、機械学習が購入件数の最大化だけではなく、キャンペーンの広告投資に対する費用対効果の最適化を実施。
最後に、③貢献度や広告投資の最大化を念頭に、動的検索広告を実施しました。動的検索広告は Wowma! のウェブサイトで取り扱っている商品に基づいて、自動で広告出稿までを実施するものです。
この①-③を同時に実施することで、ラストクリックに基づいた広告投資評価では貢献度が低いと判断されていた一般的なキーワードも含めて、機械学習により最適な広告配信を実現することができ、販売(コンバージョン)が拡大しました(下図参照)。
図:Wowma! が実施した機械学習を活用した新規顧客からの購入数拡大の仕組み
これにより、広告出稿したキーワードの数が施策前と比較し、50% も増加、狙っていた新規顧客からの購入数が施策実施前と比較し、16% 増加。また、課題であった商品カテゴリーなども、コンタクトレンズやメンズファッション領域など、幅広い領域で売上を拡大することができました(下図参照)。
図:実施前後の検索キーワード数と新規顧客からの購入数
同社では、今回の施策により、Wowma! に出店しているパートナー企業にとってより魅力的な売場としての価値を提供できるようになったと考えています。同時に、Wowma! を初めてご利用になる新規顧客の購入意向も捉えることができました。今後も、検索広告だけでなく、Google のショッピング広告やディスプレイ広告など、幅広く機械学習を活用した施策の実施を検討しています。