「ホットプレート」「歌舞伎」「ギター 初心者」──Googleトレンドに見るゴールデンウイーク “おこもり” 事情

尾崎 隆 / 2020年4月

例年「ゴールデンウィーク」の検索量は、3 月中旬から上昇を始めます。2020 年も一時はその傾向が見られましたが、検索量の上昇幅は非常に小さいものでした。祝休日の並びがよく休暇のとり方次第で 10 連休となった 2019 年と比べると、その違いが明確です。

検索動向「ゴールデンウィーク」

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在宅時間を充実させたい! “おこもり”系検索ワードが急上昇

長期化が懸念される外出自粛要請に合わせて、検索も「自宅で過ごすこと」を考慮したものが増えました。4 月以降いっそう顕著です。今回は、そんな Google 検索の傾向から、今年のゴールデンウィークにおける過ごし方を考えます。以降は 2020 年 4 月 20 日までの Google トレンド の検索動向データをもとにまとめました。

まず注目なのは、4 月以降「楽しむ 家で」という検索が急速に跳ね上がったことです。例年なら上昇するようなキーワードではありません。また、例年はゴールデンウィークとお盆の時期に瞬間的に上昇する「暇つぶし」という言葉が、今年は 4 月早々から水準を超えた上昇率を見せています。

検索動向「楽しむ 家で」

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検索動向「暇つぶし」

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全国的に不要不急の外出を控える動きが広がってきていますが、その時間をどのように過ごせばいいのかを積極的に考えたり、もしくは悩んだりといった姿が想像できます。

こうした試行錯誤は「家で」と同様、「おうち」というキーワードにも見て取れます。「おうちカフェ」「おうち居酒屋」「おうちカラオケ」そして「おうちデート」というように、本来は外出を伴うような言葉と共に「おうち」をつけた検索量の上昇が顕著になりました。また、もともとは神事仏事に関係する言葉で、今では、外出せず部屋の中で活動する、のんびりするといった言葉である「おこもり」も、4 月 12 日から4 月 18 日で一気に伸び、その後も高い水準で検索されています。

検索動向「おうちカフェ」

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検索動向「おこもり」

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今年は、多くの人がゴールデンウィークの予定を変更せざるを得なかったり、もしくは予定が立たなかったりという状況に立たされています。そのような生活者が持つ「どうにか有意義な自宅時間を過ごしたい」という意識は、ゴールデンウィークに突入してからも、継続あるいはいっそう高まりそうですね。そんな検索トレンドの詳細を見ていきましょう。

ベランダキャンプ需要? 「ホットプレート」「たこ焼き器」が検索上昇

1 つ目の傾向として、家でどのように楽しむかを強く考えている様子がうかがえます。一例を挙げると「ホットプレート」や「たこ焼き器」などの検索量が増えており、テーブルを囲んで食を楽しむためのちょっとした「盛り上げ機器」として捉えられているようです。4 月 13 日の記事でも自宅のベランダを活用した「ベランピング」や「ベランダキャンプ」を取り上げましたが、日本の住環境では、手軽に「庭でバーベキュー」が難しい場合も多いでしょう。実際「BBQ(バーベキュー)」の検索量は下落トレンドであることも考えると、「ホットプレート」の上昇は、行楽需要の代替を象徴する 1 つであるかもしれません。

検索動向「ホットプレート」

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検索動向「たこ焼き器」

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検索動向「BBQ」

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応援? 願望? プチ贅沢? 新たに伸びる「お取り寄せ」検索

「食」の分野では「お取り寄せ」の検索量も上昇傾向です。3 月 30 日の記事で言及した通り、2 月末からすでに「テイクアウト」「持ち帰り」の 2 つは上昇傾向にありました。3 月末から 4 月にかけては、これらに加えて「お取り寄せ」が伸び始めています。特徴的なのは、単に「お取り寄せ」だけではなく、「お取り寄せ グルメ」と掛け合わせた検索も伸びてきていることです。背景には「近所の外食店のテイクアウトに飽きてきた」だけでなく、「少し高級な食材を食べたい」「地方を応援したい」または「キャンセルとなってしまった旅行の代わりに、その気分だけでも味わいたい」といった意識があるのかもしれません。

検索動向「お取り寄せ グルメ」

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YouTube 検索上昇数に見る「レジャー疑似体験」のニーズ

次に見えてくるのが、「とはいえレジャーには行きたい」という切実な思いと、その代わりを模索している様子です。

2 月から 3 月前半は、密閉・密集・密接の “3 つの「密」” を避けるレジャーとして、検索量が上昇傾向にあった「キャンプ」ですが、緊急事態宣言後は下降トレンドとなり、4 月に入ってからは前年同月の検索量のほうが上回っています。同様に、例年はゴールデンウィーク前に上がってくる「遊園地」「動物園」「博物館」「美術館」といったレジャー検索も、2020 年は低空飛行のままです。

検索動向「キャンプ」

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一方で、YouTube 内ではリゾート名検索など旅行先を疑似体験するような検索や、博物館や歌舞伎といったレジャーや文化施設、イベント関係の検索数が上がっています。今年は実際にレジャーを楽しめないことは理解しているものの、やはり「そんな気分にひたりたい」という意識を反映したものかもしれません。

YouTube 内検索動向「博物館」

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YouTube 内検索動向「歌舞伎」

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中止となった歌舞伎公演の映像を 4 月頭から公開し始めた松竹チャンネルや、キャンプなどアウトドア情報を解説するまぐにぃチャンネルのように、レジャー関連トピックを題材にした YouTube チャンネルや YouTube クリエイターもより注目を集めることでしょう。

なお Google では、休館が続く美術館などの施設や世界の史跡などを自宅で楽しむ 1 つの手段として、Google Arts & Culture を提供しています。興味のある人は、連休中の時間があるときにぜひ一度ご覧ください。実体験がなかなか難しい今、インターネット上ならではの新しい気づきや学びがあるかもしれません。

外出自粛の連休はギターでも始める? “初心者検索”が急上昇

前述したような娯楽施設、文化施設などの疑似体験だけで、ゴールデンウィークの連休が満たされるかというと、それは難しいものです。最後に紹介するのは、「これまでと違う何かを始めてみよう」という意識を体現した「初心者」検索が、ここにきてより顕著になってきていることです。「ギター 初心者」が 1 つの典型例として挙げられます。

検索動向「ギター 初心者」

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多くの人にとって、外出の代替となる趣味がギターなのか、それともホコリをかぶっていたギターを持ち出してきた人の一念発起の表れなのか、とにもかくにも 4 月に入ってから「ギター 初心者」はとくに上昇傾向にあります。

緊急事態宣言による外出自粛要請と長期化する不安、そして「せっかくなので何か本格的に始めたい」という気持ちや「ゴールデンウィークにまとまった時間があるから練習できるかも」という期待が検索に出てきていると考えられます。もちろん教室に通うことはできませんから、学びの場はインターネットです。YouTube 検索においては、一足早く「ギター 初心者」の検索が跳ね上がっています。

YouTube 検索動向「ギター 初心者」

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YouTube 内の「How to( xx のやり方 )検索」の代表例である「レシピ検索」は、新型コロナウイルス感染症の拡大以前から定着はしているものの、3 月中旬から下旬以降さらに上昇傾向にあります。How to 検索の中でも、熟練度で学び方や練習法が変わる分野については、「初心者」というキーワードが含まれやすいことが、今回の特徴と言えるでしょう。

もちろん、「初心者検索」だけでなく、室内で没頭できるもの、打ち込めるものは特需になりました。「書籍」や「ゲーム」「ネット映画」はもちろんのこと、「ジグソーパズル」のようなものにまで検索は広がっています。

検索動向「ジグソーパズル」

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なお、この直近 3 カ月で、「ジグソーパズル」と一緒によく検索されているのが「2000ピース」や「1000ピース」といった単語。完成までに時間がかかる難易度の高いものに挑戦する意識が見て取れます。

この内容は公開されている Google トレンドの 2020 年 4 月 20 日までの傾向値をもとにまとめたものです。Google のビジネスインサイト & アナリティクスチームが仮説を立てながら、深掘り、検証し、検索推移から見てとれた内容を速報として執筆しました。

ここで見てきた 4 月以降の検索動向からも、生活者の今年のゴールデンウィークを「家で過ごさなければ」という意識がより高まっていくであろうと想定でき、それが結果として新たな行動につながっていることも確認できました。

また、世界的な動きになっている #StayHome の一環として、YouTube の公式ページ でも、家で楽しく過ごすためのコンテンツを紹介しています。このように、多くの企業、団体、サービスで外出自粛を促進する啓発行動を進めていることも、行動変化の後押しになっていくでしょう。このゴールデンウィークにおける「家で過ごす」生活をより楽しく快適なものにするための意識や行動が、今後の生活スタイルが大きく変わっていくか、その試金石になるかもしれません。引き続き、生活者の検索動向の変化から読み取れる仮説を分析し、発信していきます。

Contributor:
アナリティカルリード 斎藤 圭右 / データアーキテクト 檜垣 貴友

「外出したい」けど……揺れる気持ちが検索動向に──Google トレンドに見る緊急事態宣言解除後の変化