世界最大のモバイルゲーム市場の 1 つである日本では、ゲームメーカー間の競争も熾烈です。この競争を勝ち抜くには、ユーザーの信頼を集め、良好な関係性を築いていかなければなりません。本記事では、最適な瞬間にユーザーにアプローチすることで、競争が激化するゲーム市場で人気のモバイルゲーム アプリとしての地位を獲得した 3 社の事例をご紹介します。
日本におけるゲーム人口は 4,580 万人です。これは北米のゲーム人口のおよそ 3 分の 1 にあたります。人口 1 億 2,700 万人という規模にもかかわらず、日本は世界のゲーム市場の主要プレーヤーであり、2015 年には総売上高が 51 億 6 千万ドルに達しました (*1)。この市場を支えているのはユーザー 1 人あたりの課金額です。日本のゲームユーザーは 1 ゲームにつき平均 24.06 ドル課金しており、これは北米のゲームユーザーの課金額 6.61 ドルの約 4 倍です。
日本のゲーム市場が年 100~150% ペースで成長している一方、アプリストアでのスマートフォン ゲームのダウンロード数は低調に推移しており、2015 年第 1 四半期には前年比で 20% 減少しています(*2)。またユーザー数の伸びが頭打ちになるまでの平均期間 (*3) は、2015 年前半には約 30 週となっており、2012 年に比べると 150 週も早まっています (*4)。
この数字をどう読み解けばよいのでしょうか。収益性を高めるには、ゲームのダウンロードを促すだけでなく、継続的に利用してもらう必要があります。本記事では、セガゲームス セガ ネットワークス カンパニー、エイチーム、ミクシィ エックスフラッグ スタジオの成功事例をご紹介します。いずれも、ユーザーの興味が高まった瞬間を捉えてアプローチすることでゲームのダウンロード数を大幅に増やし、さらにリエンゲージメントなどの施策により、自社ゲームへの新たな関心を喚起させることができました。
セガ ネットワークス: 価値の高いユーザーが興味を示した瞬間を捉えてメッセージを配信
セガ ネットワークスの目標は「量より質」でした。ただダウンロード数を増やすだけでなく、ライフタイム バリュー( LTV )が高いユーザーを獲得しようと、スマートフォン ユーザーはいつ、どのような状況でゲーム関連の検索を行っているのか研究したうえで、最も効果的なメッセージ配信方法を選びました。
同社は以前、検索ネットワーク モバイルアプリ インストール キャンペーンを実施し、それなりの結果を収めました。しかし、頻繁に検索されるキーワード数が多く、また入札単価も変動していたため、関連キーワードを検索したユーザーに必ずしも適切に広告を表示することができませんでした。重要な瞬間に確実に広告を表示するため、セガ ネットワークスは自動入札を使用してキャンペーンを最適化し、目標コンバージョン単価を追加しました。その結果、Google や Google Play で検索するゲームユーザーに向けて、より多くの広告を表示することができました。
さらに同社は、キーワード リストを拡張してゲームに関連するすべてのキーワードを網羅するとともに、入札機会を高めるために部分一致機能を採用しました。成果につながらないキーワードの入札単価が自動的に引き下げられたことで、キャンペーンを拡大しつつ、同時に費用の増加を抑えることが可能になりました。
「セガ ネットワークスのゲーム プロモーションでは、実際の広告表示につながったキーワード数が 27% 増加、アプリのインストール数は 98% 増加しました」
セガ ネットワークスのゲーム プロモーションでは、実際の広告表示につながったキーワード数が 27% 増加、アプリのインストール数は 98% 増加しました。さらにこのキャンペーンでは、キーワードを手がかりとして、ゲームに関心があるユーザーにアプローチしたため、平均的なディスプレイ キャンペーンによるユーザーに比べ 5.5 倍の LTV が得られました。
エイチーム: より緊密なエンゲージメントと継続的な利用を目指したクリエイティブ
エイチームは、「ユーザーの 45% がテレビを観ながらスマートフォンをチェックしている5」という事実をもとに、新たな施策を打つことにしました。新しいモバイルゲーム「ユニゾンリーグ」のプロモーションにあたり、同社は、テレビと TrueView( YouTube のスキップ可能な広告フォーマット)の両方に配信する広告を制作しました。テレビ版も YouTube 版も、広告クリエイティブはほぼ同じです。ゲームの操作画面を重点的に紹介し、購入前のユーザーにも使用感が伝わるようにしました。
この広告には、「ユニフレ」などユニークで覚えやすいキーワードも含まれています。広告を見たユーザーがゲームについて詳しく知りたくなった場合、エイチームの検索広告から詳細を閲覧することができます。さらに、ゲーム内広告としてプロモーション動画を制作し、ゲームに関する期待と認知をさらに高めました。
その結果、広告で使用されたキーワードに関連する検索が 253% 増え、アプリ名の検索が 79% 増加しました。マイクロモーメントにおけるユーザー ニーズを満たすクリエイティブによって、ユーザーが情報を求める瞬間をめがけて最適なメッセージを配信し、成果につながるユーザーにリーチすることができました。
エックスフラッグ:休眠ユーザーの復帰を促すバナー広告
ミクシィ エックスフラッグ スタジオの「モンスター ストライク」は、日本で 3 番目の規模(ユーザー数 3,000 万人)を誇る人気モバイルゲーム アプリです。リリースから 2 年以上経ちますが、いまだにアクティブ ユーザーが増加しており、根強いファンが多いゲームです。さらなる成長を目指し、同社は新規ユーザーを獲得すると同時に、休眠ユーザーをいかに復帰させるかについても早くから着目していました。
「その結果、休眠ユーザー向けのバナー広告によってクリック率が 20% 向上しました」
リエンゲージメントは容易ではありませんが、ゲームの収益性を高めるために欠かせない戦略です。Google マーケティング プラットフォームのアナリティクス 360と Big Query を使用して、休眠ユーザーの復帰率を毎日計測したところ、ゲーム復帰率が低いユーザーの傾向が浮かび上がりました。同社はユーザーの復帰を促すために、アクセスしていない期間が 7 日以内のユーザーを対象に広告プロモーションを展開しました。
その結果、休眠ユーザー向けのバナー広告によってクリック率が 20% 向上しました。さらに、ユーザーが関心を示した瞬間を捉えるアプリ リエンゲージメント キャンペーンも実施しました。これは、「モンスター ストライク」をすでにインストールしているユーザーが広告をクリックすると、ゲームが自動で起動するというものです。
同社は、Google 広告 を活用して広告を効果的かつ効率的に管理することで、高い成果を上げました。休眠ユーザーの復帰に向けた広告費用対効果は 30 日間で 100% 超を達成。このリエンゲージメント戦略は収益にも大いに貢献しました。詳細は、以下の動画でご確認ください。
3 つの事例に学ぶ 5 つのポイント
成果に結びついたこれらのキャンペーンに共通するポイントはどのようなものなのでしょうか。いずれも、ゲームユーザーはいつ、どのような状況でウェブを閲覧しているのかを見極め、求められている瞬間を逃さずメッセージを配信しています。業界を問わず、マイクロモーメントを捉える場合、考慮しなくてはならない重要なポイントがあります。
・メッセージはユーザーが求めている瞬間に配信していますか。
モバイル ユーザーにアプローチするには、該当カテゴリで最も検索数が多いトピックが検索されたときに広告を表示する必要があります。
・役立つ情報を最適なタイミングで提示できていますか。
問題を解決したり、実際に役立つコンテンツを提供しましょう。
・ニーズを満たすモバイルサイトやアプリを提供できていますか。
モバイルサイトやアプリの操作性を確認してみましょう。リエンゲージメントを促したり、適切なメッセージを最適なタイミングで表示することも重要です。
・購入プロセスがわかりやすいですか。
ユーザーがどのタイミングで購入に踏み切るかを問わず、情報収集から購入まで、シンプルかつスムーズな動線を意識しましょう。
・チャネル間をシームレスに移動できますか。
それぞれのチャネルを連携させ、一貫したユーザー エクスペリエンスを提供しましょう。